終活の基本|終活とは?何をする・いつから始めるかがわかる親の終活入門

終活の基本

電球が切れているのに、脚立にひょいっと登ろうとする父を見て
「もし落ちたらどうしよう…」と急に不安になったことがありました。

そのとき、ニュースや本の中の言葉だった「終活」が、
はじめて自分ごととして胸に刺さりました。

でも今はこう思っています。

終活は「死ぬ準備」ではなく、
今日の暮らしを軽くする“生きる準備” から始められる。

このページでは、

  • 終活とはそもそも何か
  • いつから・何歳から始めればいいのか
  • まず何をすればいいのか

を、できるだけ 今日の生活からイメージしやすい形 でまとめました。

終活とは?今日の暮らしを軽くする「生きる準備」

一般的には「人生の終わりに向けた準備」と言われますが、
ここでは、終活をこんなふうに考えています。

終活=“もしもの時”に家族が困らないように、
日々の暮らしや情報を少しずつ整えておくこと。

難しい法律の話や完璧な資産管理からスタートしなくて大丈夫です。

終活で整えていくのは、たとえばこんなこと。

  • 連絡先
    • 家族・親戚
    • かかりつけ医・病院
    • いざというときの相談窓口(地域包括支援センターなど)
  • 医療・介護
    • ふだん飲んでいる薬
    • 持病やアレルギー
    • 延命治療や入院の希望
  • お金・手続き
    • 銀行や保険会社など「どこに何があるか」だけのメモ
    • 年金・保険・公共料金の支払い方法
  • 住まい・安全
    • 転びやすい段差や暗い廊下の見直し
    • 鍵の管理、合鍵を誰が持つか

こうした「暮らしのまわり」を整えておくと、

  • 本人にとって:探し物や不安が減り、今が少しラクになる
  • 家族にとって:もしもの時にも、慌てずに動ける土台ができる

――そんな “生きている今” を支える準備が、ここでいう終活です。

終活はいつから・何歳から始める?

「まだ元気だし、終活なんて早いかな?」
「親に言ったら怒られそう…」

そう感じる人も多いと思います。目安として、こんな考え方があります。

40〜50代からの終活

  • 親も自分もまだ元気なことが多く、
    落ち着いて話し合える最後のチャンス になりやすい時期。
  • この年代でやっておくと良いこと
    • 緊急連絡先の整理・共有
    • 実家の鍵の管理方法を決める
    • 親の通院状況や持病を大まかに把握しておく

「全部やるぞ!」ではなく、
“連絡先カードだけ作る” くらいの小さな一歩 からでOKです。

60代以降の終活

  • 通院や健康の不安が少しずつ増えてくる時期。
  • 優先したいこと
    • 薬・通院履歴を分かりやすくする
    • お金の「所在だけ」メモを作る
    • 家の中の転倒リスクを減らす(段差・照明など)

体力が落ちる前に、無理のない範囲で暮らしの整理を進めるイメージです。

親の終活を考えるタイミング

  • 年齢よりも、次のようなサインが目安になります。
    • 物忘れが少し増えてきた
    • 通院や薬が増えてきた
    • 子ども世帯が遠方に住んでいる

「もう終わりの準備をしよう」ではなく、

「私が困らないように、連絡先だけ整理させて?」

“自分の困りごと” としてお願いする と、話に乗ってもらいやすくなります。

終活の全体像(3フェーズの地図)

3つのフェーズ

終活は、タイミング別に 3つのフェーズ に分けると考えやすくなります。

  1. 生前:いまの暮らしをラクにする
  2. 逝去時:突然のときに慌てないための備え
  3. 逝去後:残された家族を助ける準備

生活の場面をイメージしながら見てみましょう。

フェーズ1:生前(いまを楽にする)

  • こんな状態が目安
    • 冷蔵庫にメモが増えている
    • 診察券やレシートがあちこちにたまっている
  • やることの例
    • 家族・かかりつけ医・地域包括支援センターなどの連絡先整理
    • 銀行名・保険会社名など、お金の「所在だけ」メモを作る
    • 電球・段差・浴室マット・薬の置き場など、家の安全を点検する
  • 得られること
    • 探し物が減る
    • 家族みんなが同じ情報を共有できる状態になる

フェーズ2:逝去時(万が一に備える)

  • イメージする場面
    • 夜中に急な体調不良で救急にかかったとき、
      「普段の薬」「家族の連絡先」をすぐ伝えられるか?
  • やることの例
    • 延命治療の希望や、かかりつけ医・常用薬のメモ
    • 合鍵を誰が持つのか、どこに置いておくのかを決める
    • 家族・きょうだいの連絡網を作る
  • 得られること
    • 動揺していても、最低限の判断がブレにくくなる

フェーズ3:逝去後(家族を助ける)

  • 想定する場面
    • 役所、保険会社、年金、銀行…と、
      たくさんの手続きをこなさなければならない時期。
  • やることの例
    • 「数日以内/2週間以内/数ヶ月以内」など、手続き期限の全体像を把握する
    • 必要な書類をクリアファイル1冊にまとめて保管する
    • 連絡先カードを見ながら動けるようにしておく
  • 得られること
    • やる順番が見え、家族の負担が大きく減る

まずはフェーズ1の「いまを楽にする」から。
ここを整えるだけで、終活の7割は前に進みます。

よくある誤解を3つだけ整理する

終活という言葉には、こんな誤解がつきものです。

誤解1:終活=遺言や相続のむずかしい話?
→ 実際には、
冷蔵庫のメモ・お薬カゴ・連絡先・鍵など、
日常に直結する“小さな整頓”が中心です。

誤解2:全部一気にやらないと意味がない?
→ まとめて片付けようとすると、ほぼ確実に挫折します。
「月に1つのテーマ」 で十分。
たとえば「連絡先 → 医療情報 → お金の所在」の順で、3ヶ月かけて基礎を作るイメージです。

誤解3:親が嫌がるから話を切り出せない
→ 入口の言い方次第で、反応はかなり変わります。
「あなたの終わりの準備をしてよ」ではなく、

「私が困らないように、連絡先だけ整理させて?」

自分目線でお願いすると、受け入れてもらいやすくなります。

ミニ診断(3問)

今の状況から、
どこから読み始めるとよさそうかを簡単にチェックしてみましょう。

  1. 親は元気ですか? … はい/いいえ
  2. 物忘れへの不安は? … 0/少し/強い
  3. 実家との距離は? … 近い/遠い

おすすめの読み進め方

  • 親は元気+実家が遠い
    → 「今日やるのは1つだけ:連絡先カード」
    → 「家の鍵と“入れない問題”」
    → 「見守りの始め方」の順で読む
  • 物忘れの不安が“少し”
    → 「親への切り出し方テンプレ」
    → 「エンディングノートの始め方」
    → 「薬・通院の見える化」
  • 物忘れの不安が“強い”
    → 救急時に伝える医療情報
    → 家族の連絡網
    → 手続きの全体像(相続・葬儀・年金など)の入門記事

今日やるのは1つだけ:連絡先カード

まずは 「連絡先カード」 から始めるのがおすすめです。

想定する場面

救急外来で、
「ご家族の連絡先と、普段飲んでいるお薬を教えてください」
と言われたときに、すぐ答えられる状態。

カードに書いておきたい項目

  • 本人:氏名/生年月日/住所
  • 家族:第一連絡先・第二連絡先(続柄も)
  • 医療:かかりつけ医/主な病気/常用薬
  • 重要な先:保険会社名・年金の窓口名・主な銀行名
  • :予備鍵を誰が持っているか、どこにあるか
  • 更新日:いつ書いたメモかがひと目でわかるように

置き場所・共有のコツ

  • 原本は 冷蔵庫の扉の内側玄関近くの定位置 に貼る/置く
  • スマホで写真を撮って、家族LINEなどに共有しておく
  • 実家が遠い場合は、月1回くらい写真を撮り直して送ってもらう

5分でできる最初の一歩

  1. 名刺サイズの紙やメモ帳に、まずは 家族2人+かかりつけ医+鍵の管理者 だけ書く
  2. それを写真に撮って、家族に送る
  3. 「これで私が困らなくなるから助かる、ありがとう」と一言感謝を伝える

親への切り出し方テンプレ

親子の会話

終活の話は、言い方ひとつで受け止め方が変わります。
ここでは、よく使えるフレーズをまとめました。

始め方のひと言

「最近、私の方で 緊急連絡先だけ 整理しておきたいなと思ってて。
万が一の時に 私が困らないように、5分だけ、連絡先だけ教えてもらえる?」

断られたときの返し(3パターン)

  1. 共感+ハードル下げ
    • 「そうだよね、面倒だよね。
      名前と電話番号だけでいいから、書くのは私がやるよ。」
  2. 期限を区切る
    • 「じゃあ今日じゃなくていいから、今週どこかで5分だけ時間ちょうだい。」
  3. 選び方を渡す
    • 「紙にメモするのと、ボイスメモで残すのと、やりやすい方はどっち?」

会話の締めのひと言

「今週は連絡先だけでOK。
来月は、薬のメモを一緒に作ろうか。」

“全部一気に終活を進めたい”のではなく、
月1テーマで少しずつ というペースを共有できると、お互いに気持ちがラクになります。

実生活に直結する3つの重点

ここからは、特に生活に直結する 3つの重点ポイント を紹介します。

1) 薬・通院の見える化

  • よくある状態
    • 薬カゴに古い薬が混ざっている
    • 診察券が何枚もあって、どれがメインかわからない
  • 今日できること
    • よく行く病院を 3つだけ 選び、その診察券を手前に置く
    • お薬手帳の表紙に「主な病名・アレルギー」を手書きする
    • 冷蔵庫に「今日の薬・回数」をポストイット1枚で貼る
  • 10分アクション
    • 使用期限切れの薬を処分し、残った薬を1つのカゴにまとめる

2) お金の「所在だけ」メモ

正確な残高までは把握しなくても大丈夫。
まずは 「どこの会社と付き合っているか」 を押さえましょう。

  • やること
    • 銀行・証券会社・保険会社などの 会社名だけ を1枚の紙に書き出す
    • 通帳や保険証券を1か所に集め、封筒やファイルの表紙に「銀行名だけ」を書く
    • 必要であれば、通帳の表紙だけを写真に撮って家族と共有する(残高は写さない)
  • 7分アクション
    • 通帳と保険証券をクリアファイル1冊にまとめる

3) 家の鍵と「入れない問題」

遠方に住んでいると、
「夜中に連絡が来ても家に入れない」という不安がつきまといます。

  • やること
    • 予備鍵の管理者を 1人決める(親戚や近所の信頼できる方)
    • 鍵の保管場所、キーボックスの番号などの管理方法を決めておく
    • 連絡先カードに「鍵の管理者の名前」を書いておく
  • 5分アクション
    • 玄関周りの段差や照明をチェックし、
      暗い場合はセンサーライトを検討する

見守りの始め方(段階的に/お金をかけずに)

見守りは、「いきなり高額なサービス」ではなく、
無料の工夫 → 低コストの道具 → 必要に応じてサービス の順で考えると続けやすくなります。

  1. 無料でできること
    • 週1回のビデオ通話(顔を見る習慣をつくる)
    • 毎朝のスタンプや一言メッセージ
    • 「毎週○曜日の夜は必ず連絡する」と決めておく
  2. 低コストでできること
    • 玄関やトイレなどに開閉センサーを1つ設置し、
      開閉が一定時間ないとスマホに通知が来るようにする
  3. さらに必要になったら
    • 室内センサーやカメラ
    • 見守り付きの家電や、民間の見守りサービス

声かけの例

「毎週水曜日の夜、5分だけテレビ電話しよう。
私が続けるから、顔だけ見せてくれたら十分だよ。」

“監視されている”ではなく
“おしゃべりの時間” として続けられると、お互いに気持ちがラクです。

「最初の3項目」だけでエンディングノートを始める

親父と息子

エンディングノートを完璧に書こうとすると、
最初の1ページで止まってしまいがちです。

まずは、次の 3項目だけ で十分です。

  1. 連絡先(家族・かかりつけ医)
  2. 医療の希望(救急時に伝えたいこと)
  3. お金の所在(銀行名・保険会社名など)

15分でできるテンプレ

  1. ノートの表紙に 「更新日」 を書く
  2. 上の3項目だけ、1行ずつでいいので埋める
  3. ノートの該当ページを写真に撮り、家族と共有する
    • 紙が苦手な場合は、スマホのメモアプリでもOK

ケース別ストーリー

少しイメージしやすくするために、
よくある状況を3つのケースに分けてみます。

ケースA:遠距離の一人暮らしのお母さん(74歳)

  • 水曜夜に5分のビデオ通話を習慣化
  • 連絡先カードを作り、写真で家族グループに共有
  • 合鍵は近所の方に預け、キーボックス番号を家族に伝えておく

→ 結果
仕事中に連絡が来ても、「まず誰に電話すればいいか」がすぐわかり、
慌てずに動けるようになります。

ケースB:同居している父(78歳)、忘れ物が増えてきた

  • お薬カゴを整理し、
    よく行く病院の診察券3枚だけを手前に
  • 冷蔵庫にその日の薬の回数をメモ

→ 結果
「薬飲んだ?」の声かけから、
「今日の血圧どうだった?」など、
少し前向きな会話に変わっていきます。

ケースC:兄弟姉妹が多く、話し合うと意見が割れがち

  • まずは家族グループに
    「今月は連絡先カードだけ作る」など、合意事項1行 を固定表示
  • 具体的な内容より、「今月やること」を優先して決める

→ 結果
価値観の違いでケンカになりそうな議論が、
「今月やるタスク」の話に置き換わりやすくなります。

状況別の早見表

ここまでで、「終活の地図」と「小さな一歩」のイメージができてきたと思います。
最後に、状況別に「まず何をするか」を一覧にしました。

今の状況やること(結論)目安の時間関連セクション
とにかく何か始めたい連絡先カードを作って家族と共有5〜15分「今日やるのは1つだけ:連絡先カード」
薬や通院がごちゃごちゃよく行く病院3つだけ前に出し、常用薬を整理10〜20分「薬・通院の見える化」
実家が遠くて不安鍵の管理者を1人決めて、連絡先カードに記載即日〜「家の鍵と“入れない問題”」
見守りを始めたい週1ビデオ通話+固定の連絡曜日を決める無料〜「見守りの始め方」
ノートを書き始めたい連絡先/医療の希望/お金の所在の3項目だけ書く約15分「最初の3項目だけでエンディングノートを始める」

よくあるつまずき(Q&A)

Q:終活の話をすると、親が「弱くなったみたいで嫌」と言う

A:
「あなたが弱いからじゃなくて、私が困らないようにするための整理なんだ」
と伝え方を変えてみてください。


Q:兄弟が『まだ早いんじゃない?』と言う

A:
価値観の違いをすべて解決しようとせず、
「連絡先カードだけ作る」など最小の行動だけ合意する のがおすすめです。
次のステップは「来月また話そう」と区切ります。


Q:ノートを書き始めたけれど続かない

A:
「毎月1回、表紙に日付を書く」くらいの 超シンプルな更新ルール にしましょう。
中身を増やさなくても、「今月も見直した」という事実が大事です。


Q:紙が増えて、かえって散らかってしまう

A:
書類は クリアファイル1冊方式 にまとめ、
表紙に「中に入っている書類名を3行だけメモ」しておくと、
後から見ても迷いにくくなります。

ここから先は目的別に読み進める

ここまでで、

  • 終活とは何か
  • いつから始めるか
  • 今日からできる小さな一歩

のイメージがつかめていたら嬉しいです。

もっと詳しく知りたいときは、目的に合わせて次の記事もどうぞ。

「全部きっちりやる」必要はありません。
月に1つ、5分でできることを足していく だけでも、
親のこれからも、あなた自身のこれからも、少しずつ軽くなっていきます。