仕事と介護の両立が不安なあなたへ|会社への伝え方&介護休業・介護休暇の基本

介護・医療

親の体調が悪くなってきて、通院の付き添いや、今後の介護のことが頭から離れない。
でも、仕事も大事だし、職場にどう伝えたらいいのか分からない──。

「迷惑をかけたくない」「評価が下がりそうで怖い」
そんな気持ちから、ギリギリまで一人で抱え込んでしまう方はとても多いです。

けれど、仕事と介護を両立するためのいちばんのポイントは、「早めに、事実ベースで職場に相談すること」です。

そのときに味方になってくれるのが、

  • 介護のためにまとまった期間休める「介護休業」
  • 通院の付き添いなどに使える「介護休暇」
  • 短時間勤務や残業の制限など、「働き方を調整する制度」

といった、公的な「仕事と介護の両立制度」です。

この記事では、

  • 上司に話す前に整理しておきたいこと
  • 介護休業・介護休暇など制度のざっくりしたイメージ
  • そのまま使える「口頭」と「メール」のテンプレ文例
  • 伝えたあとの付き合い方のポイント

を、できるだけやさしく・具体的にまとめました。

  1. 結論:早めに「事実+まだ不明な点+自分の希望+制度のイメージ」をセットで伝える
  2. なぜ「早めに伝える」ことが大事なのか
    1. 1. 職場側も、準備する時間が必要だから
    2. 2. 「突然の退職」しか選べない状況を防ぐため
    3. 3. 「理解してくれる人」が職場に一人いるだけで心が軽くなる
  3. 上司に伝える前に整理しておきたい4つのポイント
    1. ① 親の状態(ざっくりでOK)
    2. ② 通院・介護の頻度のイメージ
    3. ③ 自分の希望する働き方
    4. ④ 使えそうな制度のイメージを持っておく
  4. 仕事と介護の両立で使える主な制度(ざっくり解説)
    1. 1. 介護休業:まとまった期間、介護の体制づくりに使う休業
    2. 2. 介護休暇:通院付き添いなどに使える“スポットの休み”
    3. 3. 短時間勤務・残業の制限・深夜業の制限など
  5. 上司に伝えるときの基本の流れ
  6. そのまま使える「口頭」での伝え方テンプレ
    1. はじめて相談するときのテンプレ
    2. 親が急に入院したときなど、急を要する場合のテンプレ
  7. そのまま使える「メール」での伝え方テンプレ
    1. はじめて介護の相談をしたあとに送るメール例
    2. 急な早退・欠勤のあとに送るメール例
  8. 会社に伝えたあとにできる「フォロー」
    1. 1. 状況が変わったら、短い報告を小まめに
    2. 2. 親本人との話し合いも、少しずつ
    3. 3. お金の不安は、早めに情報をそろえておく
  9. まとめ|「迷惑をかける人」ではなく、「相談しながら働く人」でいていい

結論:早めに「事実+まだ不明な点+自分の希望+制度のイメージ」をセットで伝える

最初にお伝えしたい結論はこれです。

ギリギリまで黙って頑張るより、
「今分かっている事実」「まだ分からないこと」「自分の希望」「使えそうな制度のイメージ」
をセットで、早めに職場と共有したほうが、お互い守りやすい。

ここでいう「制度のイメージ」とは、

  • まとまった期間、介護の体制づくりにあてる「介護休業」
  • 通院の付き添いやケアマネとの打ち合わせなどに使える「介護休暇」
  • 短時間勤務・残業の制限・深夜業の制限など、働き方を調整する制度

といった、「こんな選択肢がありそうだ」という大まかなイメージでOKです。

参照:厚生労働省「介護休業概要制度」「介護休暇

なぜ「早めに伝える」ことが大事なのか

1. 職場側も、準備する時間が必要だから

突然、

  • 「来週からしばらく休みます」
  • 「今月いっぱいで退職します」

と言われると、仕事の配分や引き継ぎが間に合わず、チーム全体がバタバタしてしまいます。

一方で、少し早いタイミングで状況を共有しておくと

  • 業務の整理や担当替えの計画が立てやすい
  • 在宅勤務や短時間勤務などの選択肢を検討してもらいやすい
  • 介護休業・介護休暇など、制度の適用可否も前もって確認できる

といったメリットがあります。

2. 「突然の退職」しか選べない状況を防ぐため

誰にも言わずに頑張り続けていると、
ある日、体力も気力も限界になってしまい、

「もう無理だから、仕事を辞めるしかない…」

という、いちばんきつい選択を迫られることがあります。

早めに相談しておけば、

  • 一定期間だけ介護休業を取る
  • 通院の日だけ介護休暇を使う
  • 一時的に短時間勤務や在宅勤務を増やす

など、「退職するしかない」以外の選択肢を、
会社と一緒に検討しやすくなります。

3. 「理解してくれる人」が職場に一人いるだけで心が軽くなる

  • 上司
  • 人事・総務
  • 信頼できる同僚

など、職場の中に事情を知ってくれている人が一人でもいると

  • 突然の呼び出しがあったときの相談先になる
  • ミスや遅れが出たときも背景を理解してもらえる
  • 「全部一人で抱えている感覚」がやわらぐ

といった意味でも、大きな支えになります。

上司に伝える前に整理しておきたい4つのポイント

いきなり上司の席に行っても、うまく話せないことが多いもの。
まずは次の4つだけ、メモや頭の中で整理してみてください。

① 親の状態(ざっくりでOK)

医療用語で完璧に説明する必要はありません。
上司が「どれくらい大変そうか」イメージできれば十分です。

  • 病気・症状のイメージ(例:心臓の病気で入退院を繰り返している、など)
  • 現在の生活の様子(例:一人での外出は不安・火の消し忘れが増えている など)
  • これから予想されること(例:通院付き添いが月〇回ほど必要になるかもしれない)

介護保険の申請や、介護サービスの利用が気になってきたら、
詳細は別記事の
👉 「初めての介護保険・要介護認定の取り方入門」
も参考になります。

② 通院・介護の頻度のイメージ

上司が特に知りたいのは、

「仕事にどの程度影響が出そうか」

という点です。現時点で分かる範囲で構いません。

  • 通院の頻度(例:月2回、平日午前中に通院予定)
  • 付き添いにかかる時間(例:半日~1日)
  • 突発的な呼び出しの可能性(例:急変時には、平日昼間でも病院に行く必要がある など)

③ 自分の希望する働き方

そしてとても大切なのが、
「仕事をどう続けていきたいか」という、自分の希望です。

  • できれば仕事は続けたいのか、一定期間休んで体制を整えたいのか
  • 具体的には、
    • 週〇日まで在宅勤務があると助かる
    • 通院日は半休や時間休を取りたい
    • 様子が落ち着くまで残業を減らしたい

など、現実的だと思う案を1〜2個用意しておくと話しやすくなります。

④ 使えそうな制度のイメージを持っておく

細かい条件までは覚えなくてOKですが、
「こんな制度があるらしい」とイメージしておくと、会話がスムーズになります。

  • 介護の体制を整えるために、対象家族1人につき通算93日まで休める「介護休業」
  • 通院付き添いや介護サービスの手続きなど、スポットで使える「介護休暇」(対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日までが法律上の上限)
  • 短時間勤務、残業免除、深夜業の制限など、働き方を調整する制度

※実際の運用や上乗せ制度は会社によって違うので、
自社の就業規則や人事部での確認が必須です。

仕事と介護の両立で使える主な制度(ざっくり解説)

ここでは、法律上用意されている代表的な制度を、
「ざっくりイメージできるレベル」でまとめます。

※この記事は法律解説ではなく、あくまで概要の整理です。
詳細は厚生労働省サイトや会社の就業規則で必ず確認してください。

1. 介護休業:まとまった期間、介護の体制づくりに使う休業

目的

  • 要介護状態の家族を介護するために、一定期間仕事を休める制度。

ポイント(法定の枠組み)

  • 対象家族1人につき、通算93日まで取得可能
  • 原則として、最大3回まで分割して取ることもできる
  • 介護に「専念する」ためだけでなく、介護の体制を整えるための休業として位置づけられている

お金の面

  • 雇用保険に加入している場合、要件を満たせば「介護休業給付金」が支給される仕組みがあります。
    (休業前賃金の一定割合が支給される制度。詳細な率や条件は変更される可能性があるため、最新情報はハローワークや厚生労働省サイトで確認を)

「数カ月だけ集中的に体制を整えたい」「施設を探したり、サービスを組み立てたい」
といったタイミングで検討されることが多い制度です。

2. 介護休暇:通院付き添いなどに使える“スポットの休み”

目的

  • 通院付き添い・介護サービスの手続き・ケアマネとの打ち合わせなど、
    比較的短時間の介護に使える休暇。

ポイント(法定の枠組み)

  • 対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取得可能
  • 1日単位だけでなく、半日や時間単位で取れる(会社によって細かな運用は異なる)
  • 年次有給休暇とは別枠だが、「有給か無給か」は会社の規定による

通院付き添いだけで有給休暇をどんどん削ってしまうより、
「介護休暇」が使えないか一度確認しておくと安心です。

3. 短時間勤務・残業の制限・深夜業の制限など

目的

  • 介護をしながら働き続けやすいように、働き方そのものを調整する制度。

代表的な制度

  • 短時間勤務等の措置(勤務時間を短くする・フレックス制・時差出勤など)
  • 所定外労働の制限(いわゆる残業免除)
  • 時間外労働の制限(法定労働時間内で働く制度)
  • 深夜業の制限(22時〜5時の深夜勤務をしない働き方)

これらは「育児・介護休業法」で、企業に制度整備が義務づけられている部分もありますが、
中身の具体的な運用や、会社独自の上乗せ制度は企業ごとに異なります。

上司に伝えるときの基本の流れ

制度の概要をざっくり掴んだ上で、実際に上司へ話すときは、
次のような流れを意識してみてください。

  1. 事前に「介護のことで相談したい」と時間をもらう
  2. 親の状況を、感情ではなく「事実ベース」で共有する
  3. 仕事に影響しそうなポイントを具体的に伝える
  4. 自分の希望と、相談したい制度のイメージを伝える
  5. 「一緒に考えていただけませんか」というスタンスで締める

そのまま使える「口頭」での伝え方テンプレ

はじめて相談するときのテンプレ

「お時間いただきありがとうございます。
実は、親の体調がここ最近悪くなっておりまして、
これから通院の付き添いや、将来的な介護が必要になる可能性が出てきました。
まだ医師からの詳しい説明を受けている途中なのですが、
現時点で分かっている範囲では、月〇回ほど平日に通院の付き添いが必要になりそうで、
その日は半休や時間休をいただく必要が出てくるかもしれません。
自分としては、できる限り仕事は続けていきたいと考えています。
通院の日には介護休暇のようなかたちで時間を調整したり、
場合によっては短時間勤務や在宅勤務も含めて、
仕事と介護を両立できないかご相談させていただきたく思っています。
会社の制度や就業規則も踏まえながら、
どのような選択肢があり得るのか、一度ご相談に乗っていただくことは可能でしょうか?」

親が急に入院したときなど、急を要する場合のテンプレ

「少し緊急のご相談になります。
先ほど実家から連絡があり、親が急に入院することになりました。
今日〇時に病院へ行く必要があり、本日はこのあと早退させていただきたい状況です。
業務については、〇〇までは対応済みで、
残りの△△については、簡単なメモを作成してチームに共有してから出ようと思っています。
今後、医師からの説明次第では、
一時的に介護休暇や、場合によっては介護休業の利用も検討する必要が出てくるかもしれません。
その点も含めて、状況が分かり次第あらためてご相談させていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。」

そのまま使える「メール」での伝え方テンプレ

はじめて介護の相談をしたあとに送るメール例

件名:家族の介護に関するご相談のお礼

〇〇部〇〇課
〇〇マネージャー
いつもお世話になっております。〇〇です。
先ほどは、家族の介護に関するご相談のお時間をいただき、ありがとうございました。
本日お伝えした内容を、簡単に整理させていただきます。
・親(〇代/性別)の体調が悪化しており、今後、通院の付き添いや介護が必要になる可能性が高いこと
・現時点での通院頻度の見込みは、月〇回程度であること
・医師からの詳しい説明は〇月〇日に予定されており、その結果によって今後の見通しが変わり得ること
・できる限り仕事は継続したいと考えており、介護休暇や短時間勤務など会社の制度も確認しながら、 勤務時間の調整等を検討したいと考えていること
まずは〇月〇日までは、現状の勤務形態のまま様子を見つつ、
状況に大きな変化があった場合には、早めにご相談させていただく、ということで
ご理解をいただいた認識です。
あらためてになりますが、急なご相談にも関わらずご対応いただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ーーーーーーー
署名

急な早退・欠勤のあとに送るメール例

件名:【ご報告】本日の早退について

〇〇部〇〇課
〇〇マネージャー
いつもお世話になっております。〇〇です。
本日は、家族の急な入院により早退させていただき、ありがとうございました。
現時点で医師から説明を受けた内容は、以下の通りです。
(分かる範囲で簡単に記載)
今後の通院・付き添いの頻度などについては、
〇月〇日に再度医師から説明がある予定で、
その後にあらためて今後の勤務についてご相談させていただければと考えております。
介護休暇の利用も含めて、御社の制度に沿ってご相談させてください。
本日の業務については、
・完了したタスク:
 - 例)〇〇の資料ドラフト作成
・未完了のタスク:
 - 例)△△のレビュー(明日対応予定)
を〇〇さんにも共有済みです。
取り急ぎ、本日のご報告までとなりますが、
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ーーーーーーー
署名

会社に伝えたあとにできる「フォロー」

1. 状況が変わったら、短い報告を小まめに

介護は、状態が良くなったり悪くなったり、変化の多いテーマです。

  • 病状や介護の手間が増えた/減った
  • 在宅介護を続けるのか、施設も検討するのか
  • ケアマネ・地域包括支援センターと話し合った結果が出た など

大きな変化があったときは、

「親の状態がこのように変わりました。
〇月〇日までは、〇曜日だけ早退/在宅勤務を増やしたいと考えています。」

という短い報告メールを1本入れておくと、信頼感がぐっと上がります。

在宅介護と施設の間で揺れているときは、
👉 「在宅介護か施設か迷ったら|後悔しないための考え方」
で、選び方の軸を整理しておくと、上司にも説明しやすくなります。

2. 親本人との話し合いも、少しずつ

仕事との両立を考えるうえで、
「親本人がどうしたいか」を知っておくことも大切です。

ただ、終活や介護の話はデリケートなので、
切り出し方に悩むときは、

👉 「親に終活の話を切り出すタイミングと伝え方のコツ」

を参考に、「安心」をテーマに少しずつ会話を重ねていくのがおすすめです。

3. お金の不安は、早めに情報をそろえておく

仕事と介護の両立で大きな不安になるのが、お金のことです。

  • 親の年金・保険・預貯金はどうなっているか
  • 介護サービスや施設を使ったときの費用感
  • 将来の相続のこと

など、親がまだ元気なうちから、
少しずつ情報を整理しておくと、いざというときの負担が大きく変わります。

このあたりは、

👉 「親が元気なうちにしておくべきお金と手続きのこと」

で、チェックリスト形式にまとまっています。

まとめ|「迷惑をかける人」ではなく、「相談しながら働く人」でいていい

最後に、この記事のポイントを簡単に振り返ります。

  • 仕事と介護を両立するためには、
    ギリギリまで黙って頑張るより、「早めに事実ベースで相談」するほうが、自分も職場も守りやすい。
  • その際は、
    1. 親の状態(ざっくり)
    2. 通院・介護の頻度のイメージ
    3. 自分の希望する働き方
    4. 介護休業・介護休暇・働き方の調整制度のイメージ
      を整理しておくと話しやすい。
  • 介護休業(通算93日までの休業)・介護休暇(年5〜10日のスポット休暇)・短時間勤務や残業制限など、
    法律で定められた「仕事と介護の両立制度」があるので、自社の就業規則とあわせて確認しておく。(参照:厚生労働省
  • 「事実+希望+制度のイメージ+相談姿勢」の4点セットで話すと、上司も動き方を検討しやすい。
  • 親との対話・お金の整理・在宅か施設かの検討などは、
    サイト内の他の記事とうまく組み合わせながら、少しずつ進めていけばOK。

あなたは、「迷惑をかける人」ではありません。
仕事も大事にしながら、親のことも大事にしたい──
その気持ちは、多くの人が共感できる、とてもまっとうな思いです。

一人で全部抱え込まず、「職場と相談しながら働く」形を、少しずつ一緒に整えていきましょう。

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