義理の親の終活・介護にどこまで関わる?「いい嫁・いい婿」でつぶれないための考え方

介護・医療

「義理の親のことだから、できるだけ頑張らなきゃいけないのかな」
「でも、正直もうしんどい…。どこまで関わるのが普通なんだろう?」

そんなふうに、義理の親の終活・介護との距離感に悩んでいる方も多いと思います。

結論から言うと、
義理の親の終活・介護は、「全部自分が背負うもの」ではありません。

  • パートナーと話し合いながら
  • 自分の生活や心も守れるラインを決めて
  • 「できること・できないこと」に線を引いたうえで関わってよい

この記事では、

  • 義理の親の終活・介護がしんどくなりやすい理由
  • 「どこまで関わるか」の考え方
  • パートナーとの話し合いのコツ
  • 義理の親との距離感を保つヒント
  • 心が折れそうなときのセルフケア

を、一緒に整理していきます。

  1. 協力はするけれど、主役ではない
  2. なぜ、義理の親の終活・介護はこんなにしんどいのか
    1. 1. 「家族だから頑張らなきゃ」と思いすぎるから
    2. 2. パートナーとの役割分担があいまいだから
    3. 3. 自分の親・自分の生活が後回しになりやすいから
  3. 義理の親の終活・介護は「線引き」して関わっていい
    1. なぜ線引きしていいのか
  4. ステップ1:まず「自分の中の線」を決める
    1. 1. 関わり方を3段階でイメージしてみる
    2. 2. 自分の「守りたいもの」を書き出しておく
  5. ステップ2:パートナーと話すときのポイントと伝え方
    1. 1. 「責める」のではなく、「一緒に考えたい」と伝える
    2. 2. 「3つの負担」を見える化する
    3. 3. 「できる提案」もセットで伝える
  6. ステップ3:義理の親との距離感を整えるコツ
    1. 1. 基本は「パートナー経由」を軸にする
    2. 2. 距離を置きたいときの言い方の例
  7. 外部の力・公的サービスも積極的に使っていい
    1. 1. まずは「地域包括支援センター」に相談
    2. 2. 介護サービス・施設を早めに視野に入れる
    3. 3. お金や相続の不安は、早めに「情報」をそろえておく
  8. それでもしんどいときのセルフケア
    1. 1. 「できていないこと」ではなく「やったこと」に目を向ける
    2. 2. 信頼できる人・場に本音を吐き出す
    3. 3. 「介護うつ」のサインに気づいたら、立ち止まってOK
  9. まとめ:義理の親の終活・介護は「一緒に背負う」ではなく「一緒に考える」

協力はするけれど、主役ではない

最初に、この記事のポイントをまとめます。

義理の親の終活・介護は、
「できること・できないことの線を引いたうえで、パートナーと一緒に対応していくもの」です。


なぜ、義理の親の終活・介護はこんなにしんどいのか

1. 「家族だから頑張らなきゃ」と思いすぎるから

義理の親との関係が悪いわけではないほど、

  • いい嫁・いい婿でいたい
  • 冷たいと思われたくない
  • パートナーの力になりたい

という気持ちが強くなり、自分の負担を後回しにしがちです。

気づいたら、病院の付き添いも、役所の手続きも、施設見学も、
ほとんど自分が窓口になっていた…

という状態になりやすくなります。

2. パートナーとの役割分担があいまいだから

本来、「自分の親の終活・介護の責任の中心」は、その子ども(=あなたのパートナー)側にあります。

ですが現実には、

  • パートナーが「仕事が忙しい」を理由に、ほとんど動かない
  • 義理の親が、話しやすいあなたを頼ってくる
  • 義理きょうだい(義兄・義姉など)も、なんとなくあなたに任せる雰囲気になる

といったことが起きやすく、
いつの間にか「義理の家のメイン担当」になってしまうことがあります。

兄弟姉妹との役割分担が気になるときは、
兄弟姉妹で揉めないための『実家と相続』の話し方」も、考え方の整理に役立ちます。

3. 自分の親・自分の生活が後回しになりやすいから

義理の親のことで手一杯になると、

  • 自分の親のことまで手が回らない
  • 子どもや仕事、自分の体調が後回しになる
  • 気づいた頃には、かなり疲れ切っている

ということも少なくありません。

「自分の親との関係自体がしんどい」という場合は、
親と折り合いが悪い・『毒親』だったときの終活と見送り方」のように、“距離の取り方”をテーマにした記事もあわせて読んでみると、自分の気持ちを整理しやすくなります。

義理の親の終活・介護は「線引き」して関わっていい

改めて、ここが大事なポイントです。

義理の親の終活・介護には、
「できること・できないことの線を引いて関わる」という前提を持ってOKです。

なぜ線引きしていいのか

  • あなたには、自分の生活・自分の親・自分の健康を守る責任もある
  • すべてを引き受けてしまうと、パートナーや義理の家族も、
    「それが当たり前」と感じてしまうリスクがある
  • 無理をして倒れてしまうと、結果的に義理の親もパートナーも困る

「冷たいから線を引く」のではなく、
“長く関わり続けるために、現実的なラインを決める”というイメージに近いと思ってもらえるとよいかなと思います。

ステップ1:まず「自分の中の線」を決める

いきなりパートナーや義理の親と話す前に、
自分の中で『ここまではできる』『ここから先は難しい』を言葉にしておくことが大切です。

1. 関わり方を3段階でイメージしてみる

たとえば、次のような3段階で考えてみます。

レベル1:情報共有・相談には乗る(頭と気持ちのサポート)

  • パートナーが義理の親と話した内容を聞く
  • 一緒にインターネットやパンフレットで情報を調べる
  • 選択肢を整理するのを手伝う

👉 実際に動くのはパートナーが中心。あなたは“参謀役”というイメージです。

レベル2:一部の手続き・付き添いには協力する

  • 仕事や予定が合うときに、病院の付き添いに一緒に行く
  • 役所の手続きに同行する
  • 介護サービスや施設の見学について行く

👉 ただし、「毎回必ず」ではなく「行けるときだけ」と、自分の中でルールを決めておくのがおすすめです。

介護サービスを検討するときは、
限界までがんばる前に、『デイサービス・ショートステイ』という選択肢を」や
親の介護施設の種類と選び方」も、家族会議の材料として役立ちます。

レベル3:必要に応じて“窓口役”を引き受ける(範囲と期限を決めて)

  • パートナーが単身赴任・海外勤務などで、物理的に動けない
  • 義理の親があなたのほうが話しやすく、どうしてもあなたに電話が来る

こんなとき、一時的にあなたが窓口になる場合もあります。

その場合は、

  • 「〇月までは」「施設が決まるまで」など期限を決める
  • 「施設探しまで」「手続きのサポートまで」などテーマを区切る

といった形で、“いつまでも・なんでも”にならない工夫をしておくと、あとが楽になります。

2. 自分の「守りたいもの」を書き出しておく

  • 自分の仕事
  • 自分の健康(持病や体力)
  • 自分の親や家族(子ども)との時間
  • 趣味や休息の時間

これらを踏まえて、

「ここは削れない」
「この範囲なら協力できそう」

というラインを、紙やスマホにメモしておくと、
あとでパートナーと話すときの“軸”になります。

ステップ2:パートナーと話すときのポイントと伝え方

次に、パートナーとの話し合いです。
ここを飛ばして、義理の親や義理きょうだいと直接やりとりを続けてしまうと、
負担が偏ったまま固定されてしまいやすくなります。

1. 「責める」のではなく、「一緒に考えたい」と伝える

正論だからこそ言いたくなるのが、こんな言葉です。

  • 「なんで全部私にやらせるの?」
  • 「あなたの親なんだから、あなたがやるべきでしょ?」

気持ちはとてもよく分かるのですが、
これだけだと相手が身構えてしまい、建設的な話になりにくいことがあります。

言い換えの例

  • 「正直、ちょっとしんどくなってきてて…。
     これからの役割分担を一緒に考えたいんだ」
  • 「あなたの親のことだから、基本はあなた主体で進めてほしい
     そのうえで、私がどこまで協力できるか整理したくて

こんなふうに、「責めたい」ではなく「一緒に考えたい」スタンスを前に出すと、話がしやすくなります。

仕事との両立も不安なときは、
仕事と介護の両立が不安なあなたへ|会社への伝え方&介護休業・介護休暇の基本」を一緒に読みながら、
「仕事はこうしたい」「介護はこうしたい」と相談してみるのも一つの方法です。

2. 「3つの負担」を見える化する

なんとなく「大変」と伝えるより、
具体的に負担を言葉にすると、相手にも伝わりやすくなります。

  • 時間の負担:通院付き添い、電話、移動時間 など
  • お金の負担:交通費、細かい立て替え など
  • 気持ちの負担:疲れ・プレッシャー・イライラ など

たとえば、

  • 「ここ数カ月、義理の親のことで週○時間くらい使っていると思う」
  • 「交通費や細かい出費で、月にこれくらいかかっている」
  • 「最近、夜もこのことばかり考えてしまって、気持ちがずっと張り詰めている

といった形で、
数字や具体例を交えて共有するのがおすすめです。

お金まわりの不安が大きいときは、
親のお金を“勝手に使わないために”|通帳管理・立て替え精算・成年後見の基礎ルール」も、
「どこまで触っていいか」「記録はどう残すか」を考えるヒントになります。

3. 「できる提案」もセットで伝える

しんどさだけを伝えると、
パートナーの側も「どうしたらいいのか分からない」と固まってしまうことがあります。

  • 「私は、今後はレベル2までなら協力したいと思ってる」
  • 「病院の付き添いは、月○回までなら行けそう」
  • 「手続きの電話は、原則あなたからしてほしい
     どうしても難しいときは一緒に考えよう」

というように、「ここまではやる」という提案も一緒に出すと、
話が前に進みやすくなります。

ステップ3:義理の親との距離感を整えるコツ

実際に動き始めるとき、
義理の親とどれくらい直接やり取りするかもポイントになります。

1. 基本は「パートナー経由」を軸にする

  • 電話や連絡の窓口
  • 重要な決定(治療方針・施設・住まい など)
  • お金に関わる話

こういった大事な部分は、基本的にパートナーを通して進めることをおすすめします。

こんな言葉を“口ぐせ”にしておく

  • 「大事なことなので、いったん〇〇さん(パートナー)とも相談しますね
  • 「最終的には、〇〇さんからお返事させてもらいますね

「私一人で決める立場ではありません」という姿勢を、
やんわりと示しておくイメージです。

2. 距離を置きたいときの言い方の例

距離を取りたいときほど、
角を立てずに「限界がある」ことを伝えておけると安心です。

  • 「私はあくまで“お手伝い役”なので、できる範囲で関わらせてもらえればと思っています」
  • 「私だけで判断すると、あとで△△さん(きょうだいなど)ともめてしまうかもしれないので…」
  • 「最近ちょっと体調が良くなくて、頻繁には動けないかもしれません

義理の親との関係が近すぎると、
自分の心がすり減ってしまうこともあります。

外部の力・公的サービスも積極的に使っていい

「家族だけでなんとかしなきゃ」と思いすぎると、
どうしてもどこかで限界が来てしまいます。

1. まずは「地域包括支援センター」に相談

義理の親が住んでいる市区町村には、
高齢者支援の窓口として「地域包括支援センター」があります。

  • 介護保険の申請
  • ケアマネジャーとのつながり
  • 家族の相談

などをまとめて相談できる場所です。

パートナー本人が相談の中心になるのが基本ですが、
不安であれば「一緒についていく」という形でサポートするのも一つです。

2. 介護サービス・施設を早めに視野に入れる

「まだ家でなんとかなるから…」と先延ばしにしていると、
いざというときに選択肢が限られてしまうこともあります。

  • デイサービス
  • ショートステイ
  • 有料老人ホームやサ高住 など

については、
限界までがんばる前に、『デイサービス・ショートステイ』という選択肢を」や
親の介護施設の種類と選び方」で、
家族目線で整理されています。

「このまま自宅で頑張り続ける」の一択ではなく、
“外の手”を借りることも「家族を守る選択」だと考えてみてください。

3. お金や相続の不安は、早めに「情報」をそろえておく

  • 親のお金をどこまで触っていいのか
  • 立て替えたお金はどう精算するのか
  • 将来の相続で揉めないために、何を確認しておくといいのか

といった不安には、

なども参考になります。

それでもしんどいときのセルフケア

義理の親の終活・介護に関わっていると、どうしても感情が揺れます。

  • 「ここまでやっても感謝されない…」
  • 「もっとやってあげるべきだったのでは」
  • 「冷たいと思われたかもしれない」

そんな気持ちになるのは、とても自然なことです。

1. 「できていないこと」ではなく「やったこと」に目を向ける

  • 付き添いに行った日
  • 情報を調べた時間
  • パートナーの愚痴を聞いたこと

など、「自分がやったこと」を、意識して数えてみてください。

「あれもこれもできなかった…」ではなく、
「ここまではやれた」と自分を認めてあげることが大切です。

2. 信頼できる人・場に本音を吐き出す

  • 友人
  • カウンセラーや専門職
  • オンラインコミュニティ

など、家族以外の場所で本音を出せると、
気持ちの余裕が少し戻ってきます。

3. 「介護うつ」のサインに気づいたら、立ち止まってOK

  • 寝ても疲れが取れない
  • いつもイライラしていて、親やパートナーにきつく当たってしまう
  • 何をしても楽しく感じられない

こんなサインが続いているときは、
「限界までがんばる」前に立ち止まることも、とても大事な一歩です。

心のしんどさが強いと感じるときは、
介護で心が折れそうなあなたへ|“介護うつ”になる前にできる7つのこと」も、
自分の心を整えるヒントになると思います。

まとめ:義理の親の終活・介護は「一緒に背負う」ではなく「一緒に考える」

最後に、この記事のポイントをもう一度整理します。

  • 義理の親の終活・介護は、「全部自分が背負う」必要はない
  • まずは、自分の中で「ここまではできる」「ここから先は難しい」を言葉にする
  • パートナーとは、「責める」ではなく「一緒に考えたい」というスタンスで話す
  • 基本はパートナー主体で進め、あなたは“お手伝い役”という立ち位置でOK
  • 義理の親とのやり取りは、「パートナー経由」「自分だけで決めない」を意識する
  • 介護サービス・施設・公的制度・専門家など、「外の手」も遠慮なく頼ってよい
  • 自分の仕事・生活・健康を守ることも、「家族を長く支えるための大事な役割」

「いい嫁・いい婿」でいることよりも、
あなた自身も含めた家族みんなが、長く持ちこたえられる形を選んで大丈夫です。

そのうえで、「このラインで関わる」と決めたあなたの選択は、
ちゃんと「家族のことを考えた、現実的でやさしい選択」なのだと思います。

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