住む・貸す・売る・空き家のまま…迷っているあなたへ
親の家を相続した、あるいはこれから相続しそうになったとき。
- 売るのは親に申し訳ない気がする
- 空き家のまま置いておくのも良くない気がする
- きょうだいの意見もバラバラで、何が正解か分からない
こんな気持ちで、心の中がずっと落ち着かない…
もしかしたら、今のあなたはそんな状態かもしれません。
まず最初に、これだけお伝えさせてください。
いま、すぐに完璧な答えを出さなくても大丈夫です。
迷っているのは、ちゃんと親のこと、自分たちのことを考えている証拠です。
この記事では、
- 「親の家を相続したらどうするか」を考えるときの基本の4つの選択肢
- 住む
- 貸す
- 売る
- 一旦、空き家として維持する
- それぞれの特徴や、向いているケース・向いていないケース
- 迷ったときの考え方のヒント
を、できるだけ落ち着いて整理していきます。
なお、
- 実家の片付けや遺品整理
- 家族での話し合いの進め方
- 空き家の管理
といった「実家じまい全体の流れ」については、別の記事でまとめています。
👉 実家じまいの全体像を知りたい方は
「実家じまいの全体マップ|片付け・遺品整理・売却/解体・空き家対策まで」
もあわせて読んでみてください。
ここから先は、少し深呼吸しながら、ゆっくり読み進めていただければと思います。
結論|完璧な正解よりも「方向性」と「期限」を決めること
親の家を相続するとき、多くの人が
「売るのが正しいのか」
「空き家にしておいていいのか」
「住まない自分は冷たいのではないか」
と、自分を責めるような気持ちになりがちです。
ですが、ここで大事なのは
✅ 完璧な“正解”を見つけることではなく
✅ 今の自分たちなりの「方向性」と「いつまでに決めるか」を決めること
です。
「方向性」と「期限」だけでいい理由
- 実家をどうするかは、感情・お金・家族関係が全部絡む、大きなテーマです
- 一度で100点の答えを出そうとすると、心も体も疲れ切ってしまいます
- いま決めきれないことも、時間を置くことで見えてくるものがあります
だからこそ、
- 「住む方向で考えるのか」
- 「貸す・売る方向で考えるのか」
- 「しばらくは空き家として様子を見るのか」
という「向き」だけを、まず決めてみてください。
たとえばこんなイメージです。
- 「今は気持ちの整理がつかないので、3年だけは空き家として維持する。その間にきょうだいで話し合って、3年後までに“売るか貸すか”を決める」
- 「子どもが独立する2年後までは今の家に住み続けて、2年後に“実家に住み替えるか”を改めて話し合う」
このくらいの“方向性+期限”が決まるだけでも、
心の中のモヤモヤが少し落ち着いてくることがあります。
まずは「今の状態」をやさしく整理する

親の家をどうするかを考える前に、
一つひとつ、状況を整理していきましょう。
ここは、ざっくりで大丈夫です。
「ノートにメモしてみる」くらいの気持ちで読んでみてください。
1. 家の状態をざっくり把握してみる
- 築何年くらいの家か
- 雨漏りや大きなヒビ、床の沈みなど、目立つ傷みはあるか
- そのまま住めそうか、リフォーム前提になりそうか
例)
「パッと見はまだキレイ。でも、よく見るとお風呂がかなり古い…
不動産会社に見てもらったら『リフォームすれば住めるけど、費用も含めて考えたほうがいいですよ』と言われて、
“残す/手放す”を現実的に考えられるようになりました。」
完璧にチェックしなくても、「なんとなくの状態」が分かれば十分です。
2. 名義・相続人を確認する(わかる範囲でOK)
- 現在の名義は誰か
- 亡くなった親の名義のままか
- 片方の親か
- すでに子ども名義か
- 相続人は誰か
- 配偶者
- きょうだいの数
細かい法律の話までは覚えなくてかまいません。
「だいたい、こんな感じなんだな」と把握しておくだけで、
- 誰がどれくらい関わるのか
- 後から揉めそうなポイントはどこか
が見えやすくなります。
3. 家にかかっているお金をざっくり知る
- 固定資産税はいくらくらいか
- 管理費、駐車場代など、毎年かかる費用があるか
- 住宅ローンが残っているかどうか
数字を“正確に”出す必要はありません。
「この家を持ち続けると、毎年どれくらいお金が動くのか」が
ぼんやり分かればOKです。
選択肢① 親の家に「住む」という選択
実家に住むのは、親のため“だけ”じゃなくていい
「親が残してくれた家だから、住んであげたほうがいいのかな…」
そう思う方も多いと思います。
その気持ち自体は、とても自然で、あたたかいものです。
ただ、実際に住むとなると、
- 通勤や通学の時間
- 子どもの学校や友達関係
- 仕事の選び方
- 地域の暮らしやすさ
といった、あなた自身と家族のこれからにも、大きく影響してきます。
「親のため」だけで決めてしまうと、
後から自分たちが苦しくなってしまうこともあります。
向いているケース
- もともと地元に戻るつもりがあった
- リモートワークが中心で、住む場所の自由度が高い
- 子どもがいない、あるいはすでに独立している
- 家の状態が比較的良く、リフォーム費用がそこまで大きくなさそう
向いていないケース
- 通勤が大きく不便になる(片道1時間以上など)
- 子どもの学校や習い事を変えたくない
- 夫婦のどちらかが、地元や地域に強い不安を感じている
- 家がかなり老朽化していて、大きなリフォームが必要そう
実家に住む場合に考えておきたいこと
- どの部屋をどのように使うか(バリアフリーなども含めて)
- いま住んでいる家(賃貸・持ち家)をどうするか
- 将来、その家をまた子どもに渡すのか/渡さないのか
「親の家に住む=親孝行」という考え方に縛られすぎず、
「自分たちの生活として続けられるか」を一緒に考えてあげることが、
長い目で見ると、お互いにとって優しい選択になります。
選択肢② 親の家を「貸す(賃貸に出す)」という選択
「貸す」は、“手放さずに維持する”真ん中の選択肢
「実家に住む予定はない。でも、売る決心がつかない」
そんなときに検討されることが多いのが、貸す(賃貸に出す)という選択です。
- 家賃収入で、固定資産税や管理費をまかなえる可能性がある
- しばらく人に住んでもらいながら、将来の選び直しもできる
という意味で、「残す」と「手放す」の真ん中のような位置づけです。
ただし「楽な不労所得」とは限らない
一方で、貸すことには
- 入居者の募集
- 修繕・設備トラブルへの対応
- 空室期間のリスク
など、それなりの手間とリスクもあります。
遠方に住んでいる場合は管理会社にほぼ任せることになりますが、
その分の管理費用もかかります。
賃貸に向いているケース
- 自分たちが将来住む可能性も、まだ完全には捨てていない
- 実家の立地がそこまで悪くなく、賃貸需要がありそう
- 管理会社にある程度任せながら、賃貸として維持してもいいと思える
賃貸に出すときのイメージ
- 地元の不動産会社に「この家を貸したら、家賃はいくらくらいか」を相談
- 賃貸に出すために必要なリフォーム・クリーニングの見積もりを取る
- 管理を自分たちでするか、管理会社に委託するかを決める
- 募集・契約・入居後の管理へ
「貸す」という選択肢は、
「今は決めきれないけれど、完全に手放すのも怖い」という気持ちに対する
現実的な折り合いのひとつと言えます。

選択肢③ 親の家を「売る」という選択
売ることは、親への裏切りではない
「実家を売るなんて、親に申し訳ない」
「親の思い出をお金に変えるようで、罪悪感がある」
そう感じる方も、とても多いです。
でも、少し視点を変えてみると、
- 固定資産税や管理費などの継続的な負担をなくせる
- 遠方からの管理や草むしりなどの精神的負担から解放される
- 現金にすることで、きょうだい間の分け方が分かりやすくなり、トラブルを減らせる
という側面もあります。
親が残してくれた家を、
「これからの自分たちの生活や老後の安心」に変える
という考え方も、決して間違いではありません。
売ることが向いているケース
- きょうだい全員、実家に住む予定がない
- 実家がある地域に、今後住むイメージが持てない
- 老朽化が進んでいて、住むにも貸すにも多額の修繕費が必要
- 親が生前、「売ってもいいよ」と話していた
売却までの流れ(イメージ)
- 不動産会社に査定を依頼(できれば複数社)
- 仲介で売るか、業者に買い取ってもらうかを検討
- 仲介:売却価格は高くなりやすいが、時間がかかることも
- 買取:価格は下がるが、早く・確実に現金化しやすい
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 内見対応・条件の調整
- 売買契約・引き渡し
「売る」という選択は、
あなたや家族の人生を前に進めるための、一つの手段です。
心が追いつかないときは、
「今すぐ決めなきゃ」ではなく、情報を集めながら少しずつ心を慣らしていくイメージで考えてみてください。
選択肢④ とりあえず「空き家として維持する」という選択
「いまは決められない」も立派な気持ち
親を亡くした直後や、親が施設に入ったばかりのタイミングで、
実家のことを冷静に決めるのは、とても難しいことです。
「せめて三回忌までは、そのまま残しておきたい」
「気持ちの整理がつくまで、少し時間がほしい」
そんな気持ちも、とてもよく分かります。
その場合、一時的に「空き家として維持する」という選択も、もちろんアリです。
ただし、「何も考えずに空き家のまま」は、
長い目で見るとリスクもあります。
空き家のままにするリスク
- 老朽化が進み、修繕費が高くなる
- 雑草やゴミ、不審者などで近隣トラブルになる可能性
- 空き家に関する法律・条例の対象になることも
「空き家=悪い」ではなく、
「期限を決めずに空き家のまま」がつらくなりやすいのです。
期限付きの「保留」にしてみる
おすすめしたいのは、
「〇年までは空き家として維持する。その間に、家族で方針を話し合う」
という “期限付きの保留” です。
- 三回忌まではそのまま
- 子どもの進学や引っ越しのタイミングまで
- 自分の仕事の状況が落ち着くまで
あなたの心と生活のペースに合わせて、
「このくらいなら考え直せそう」というタイミングを決めてみてください。
空き家として維持する場合の、最低限の管理
- 定期的な換気・清掃
- 郵便物やチラシのチェック
- 草むしりや庭木の手入れ
- 遠方の場合は、見守りサービスや管理サービスの利用も検討
空き家管理や片付けについては、
👉 「実家じまいの全体マップ|片付け・遺品整理・売却/解体・空き家対策まで」
に、もう少し詳しく書いています。
4つの選択肢を比べてみる|お金・手間・柔軟性
ここまで読んでいただいて、
「あれもこれも…」と、逆に迷いが増えてしまっていたら、ごめんなさい。
最後に、少し整理してみましょう。
ざっくりイメージ
| 選択肢 | お金の負担の軽さ | 手間の少なさ | 将来の選び直しやすさ |
|---|---|---|---|
| 住む | △〜◯ | △ | △〜◯ |
| 貸す | ◯ | △〜◯ | ◯ |
| 売る | ◎(維持費ほぼゼロ) | ◯ | △(手放す) |
| 一旦空き家 | △ | △〜◯ | ◎ |
※あくまで目安です。実際にはご家庭の事情によって変わります。
考えるときの質問
もしよかったら、次の質問を、ゆっくり心の中で読んでみてください。
- この先10年くらいのあいだに、誰かがその家に住む可能性はありますか?
- 実家の管理に、今の生活の中でどれくらい時間や手間をかけられそうでしょうか?
- 「何もしないまま固定資産税を払い続ける」余裕はありますか?
- きょうだいみんなが、“なんとか納得できる”のはどの方向でしょう?
完璧な答えを目指さなくて大丈夫です。
「なんとなく、この方向かな…」という感覚が見えてきたら、それで十分です。
迷ったときは、専門家の“客観的な目”も借りていい

家のこと・相続のことは、
家族だけで話していると、どうしても感情が大きくなりがちです。
そんなときは、
第三者の視点を少しだけ借りてみるのも、一つの方法です。
こんなときは、こんな人に相談
- 実家を売るか貸すかで迷っている
→ 地元の不動産会社(できれば複数社) - 相続人が多く、話が複雑になりそう
→ 相続に詳しい司法書士・弁護士 - 相続税がかかりそう・ほかにも資産がある
→ 相続に強い税理士
「相談する」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、
最初は“話を聞いてみる”くらいの気持ちで大丈夫です。
さいごに|「正解」よりも、あなたが納得できる選択を
ここまで、かなり長い文章を読んでくださってありがとうございます。
親の家をどうするかは、
正解が一つに決まっている問題ではありません。
- 親の思い出
- 自分たちの暮らし
- お金の不安
- きょうだいとの関係
すべてを一度に背負おうとしたら、
誰だって苦しくなってしまいます。
どうか、
「ちゃんと迷っている自分」
「簡単に決めないで考えている自分」
を、少しだけ認めてあげてください。
そしてもし、実家全体の片付けや、
きょうだいとの話し合い方も気になってきたら、
も、あなたのペースで読んでみてください。
このページが、
親の家と向き合うときの「心の支え」と「考えるための土台」の、
そのどちらかにでもなれたら、うれしいです。

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