親の危篤や訃報の連絡は、たいてい突然やってきます。
頭が真っ白になって、「何から手をつければいいのか分からない」と感じる人がほとんどです。
- 今すぐ何を準備すればいいのか
- 病院や施設でどんな流れになるのか
- 誰に、どのように連絡をすればいいのか
この記事は、親の危篤・訃報の連絡を受けた「子ども世代」のあなたに向けて、
「最初の24時間」にやることだけを、できるだけやさしくまとめたものです。
地域や宗派によって流れが違う部分もありますので、
最終的には、病院・葬儀社・お寺・市区町村から案内された内容を優先してください。
全体の流れをもう少し先まで知りたいときは、
👉「訃報から四十九日までの流れ|いま不安でも大丈夫。やることを一緒に整えましょう」もあわせて読んでみてください。
ここでは、あくまで「今日という1日をどう過ごすか」のイメージと、
心の負担を少しでも軽くするための考え方をお伝えします。
最初の24時間でやることは「3つ」だけでいい

突然の連絡があると、
「あれもこれも今すぐ決めなきゃ」と感じてしまいがちです。
でも、最初の24時間でできれば十分なことは、次の3つだけです。
- 親のそばへ向かう準備をする
- 病院・施設での流れに備える
- 葬儀社候補を1〜2社だけメモしておく
この記事では“最初の1日”に絞ってお話ししますが、
もう一歩先の数日〜四十九日までを知りたいときは
「訃報から四十九日までの流れ」で、ケース別に道筋を整理しています。
親のそばへ向かう準備をする
いちばん大切なのは、親のそばに行ける状態を整えることです。
- 自分の身支度(服装・持ち物)
- 移動手段の確保(電車・車・飛行機など)
- 同居している家族への声かけ(「今日は遅くなるかも」など)
完璧な準備である必要はありません。
「最低限これだけあれば動ける」というラインまで整えられたら、十分です。
病院・施設での流れに備える
人が亡くなると、一般的には
- 医師からの説明
- 死亡診断書の交付
- ご遺体の安置先をどうするかの相談
…という流れになります。
このとき、
- 誰が説明を聞きに行くか
- メモを取れる人はいるか
- 安置先をどこにするか(自宅・葬儀社・病院)
という3つを「なんとなく」頭の片隅に置いておくだけで、
その場で慌てにくくなります。
葬儀社候補を1〜2社だけメモしておく
最初の24時間で、葬儀内容のすべてを決める必要はありません。
ただし、「どこに連絡するか」だけは決めておいたほうが安心です。
- 実家の近くの葬儀社
- 病院がよく利用している葬儀社
- 以前、親が話題にしていた葬儀社 など
この中から1〜2社だけ、スマホやノートに名前と電話番号をメモしておきましょう。
実際にどこにお願いするか、どのプランにするかは、
一度落ち着いてから話し合って構いません。
最初の24時間で全部やらなくていいという考え方
「今日中に全部決めないと迷惑をかけてしまう」と思うと、
心も体もすり減ってしまいます。
ここからは、あえて“今日やらなくていいこと”のイメージを持っておきましょう。
人が亡くなった後の手続きは「数日〜数カ月」で進めていけば大丈夫
人が亡くなったあとは、次のようなことが必要になります。
- 市役所での手続き(死亡届・火葬許可証など)
- 健康保険・年金・生命保険などの手続き
- 銀行口座・公共料金・クレジットカードの名義変更・解約
- 相続や遺産分割の話し合い
- 四十九日法要やお墓のこと など
どれも大切ですが、最初の24時間ですべてを進める必要はありません。
法律上の期限があるものもありますが、多くは「数日〜数カ月」のあいだで対応すれば間に合います。
今日は、「今日動く必要があることだけ」に意識を向けて大丈夫です。
今日決めることと、数日後に決めればいいことを分ける
今日(最初の24時間)に決めておきたいのは、
- 親のそばへ向かう準備・移動
- 病院・施設での流れへの心づもり
- 葬儀社に連絡するときの候補先
この3つです。
逆に、次のようなことは、今日決めなくても問題ありません。
- 葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬など)
- 会葬者の人数や食事の内容
- 引き出物や香典返しの詳細
- 相続の分け方や遺産の整理
- お墓をどうするか(どの供養先を選ぶか)
お墓をどうするか(どの供養先を選ぶか)については、今日決める必要はありません。
あとで落ち着いて、「お墓の基本|種類・費用・選び方・墓じまいの進め方」を見ながら考えても、十分間に合います。
これらは、家族で落ち着いて話し合えるタイミングで決めてかまいません。
混乱しているときほど「シンプルな手順」が心を守ってくれる
親の死に向き合うとき、
家族はそれぞれショックや悲しみを抱えています。
- いつもより判断力が落ちている
- ちょっとしたことでぶつかりやすい
- 誰か一人に負担が集中しやすい
そんな状況で細かなことまで完璧に決めようとすると、
あとで「もっとこうすればよかった」と自分を責めてしまうこともあります。
「今日やることは3つだけ」と決めておくことは、
自分と家族を守るための、小さな優しさでもあります。
危篤の連絡が来たときにすること

ここからは、状況別にもう少し具体的な流れをまとめます。
まずは「危篤」の連絡が来たときです。
状況をできる範囲で確認する
「危篤です」とだけ聞くと、
すぐにでも飛び出したくなるかもしれません。
落ち着けるようなら、連絡をくれた人(病院・施設・家族など)に、できる範囲で聞いてみましょう。
- いま、本人はどんな状態か
- 誰か付き添っている人はいるか
- 医師からはどんな説明があったか
- 今すぐ来たほうがいいのか、数時間以内でよいのか
細かいところまで聞き出さなくてかまいません。
「どれくらい急いだほうがよさそうか」が分かれば十分です。
すぐ動くか、一度準備してから動くかの目安
例えば、
- 「今夜が山です」と言われている
- 家族から「できればすぐ来て」と言われている
こうした場合は、できるだけ早く向かう前提で動いたほうが安心です。
一方で、
- 高齢・持病で危険な状態ではあるが、すぐではなさそう
- 医師から「数日〜数週間のうちに」といった説明を受けている
といったときは、
慌てて飛び出すより、一度落ち着いて準備をしてから向かうという選択肢もあります。
長く付き添うことになるかもしれないので、
「今すぐ出るのがいいのか」「数時間以内に出るのがいいのか」を、
家族とも相談しながら決めていきましょう。
持っていくと安心なものリスト
最低限、次のようなものがあると安心です。
- 自分の身分証(運転免許証・健康保険証など)
- 親の保険証(病院にまだ預けていない場合)
- メモ帳とペン(説明・連絡先・費用などを書き留める用)
- スマホと充電器・モバイルバッテリー
- 現金(タクシー代・自販機・一時的な支払い用)
- 1日分くらいの着替え・洗面道具
- 寒さ対策用の上着や羽織もの
長くなる可能性も考えて、
「ちょっとした一泊旅行」くらいのイメージで準備しておくと安心です。
病院・施設で看取りをする場合の流れ
ここでは、病院や施設で看取りをする場合の、大まかな流れをイメージしやすいようにまとめます。
医師からの説明を聞くときに意識したいこと
容体が急変した場合や、亡くなったあとは、
医師や看護師から説明があるのが一般的です。
- いまの状態や経過について
- 今後の見通しについて
- 亡くなったあとの流れについて
このとき、可能であれば次のような点を意識してみてください。
- 家族の中で、誰が中心になって話を聞くかを決めておく
- 難しい用語は、「もう一度」「簡単な言葉で」と聞き直してよい
- 不安に思っていることはメモにしておき、質問してみる
「何度も聞いて申し訳ない」と感じるかもしれませんが、
医療スタッフは何度でも説明することに慣れています。
分からないままにしないことが、後悔を減らす助けになります。
死亡診断書について知っておきたいこと
病院で亡くなった場合、
医師から死亡診断書が発行されます。
- 葬儀社や市役所で必要になる大切な書類
- 保険金の請求などにも使うため、複数枚必要になることが多い
もし余裕があれば、
- 「何枚発行してもらえるのか」
- 「追加が必要なときはどうすればいいか」
を確認しておくと安心です。
とはいえ、最初の24時間では、
「死亡診断書を受け取る」ということだけ覚えておけば十分です。
枚数や使い道で悩むのは、もう少し落ち着いてからでも間に合います。
ご遺体の安置先をどうするか
亡くなったあと、ご遺体をどこに安置するかを決める必要があります。
- 自宅に戻る
- 葬儀社の安置室を利用する
- 一時的に病院に預かってもらう(できるかどうかは病院による)
どれが正解というよりも、
- 自宅の状況(スペース・一緒に住んでいる人など)
- 家族の体力や心の余裕
- 地域の慣習
を踏まえて考えていくことになります。
「どのくらい費用がかかるのか」が気になるときは、
👉「葬儀費用の相場と内訳|急いで決めなくて大丈夫。考え方と見積りの見方」で、
平均額と内訳、見積書を見るときのポイントをまとめています。
このとき、葬儀社の候補を1〜2社メモしておき、
「安置先について相談したい」と電話で聞いてみるのもひとつの方法です。
訃報を受けた直後にやること(自宅・遠方などケース別)

すでに訃報の連絡を受けた場合も、考え方の基本は同じです。
自宅で亡くなった場合にまず連絡する先
もし自宅で亡くなった場合は、状況によって連絡先が変わります。
- すでに訪問診療やかかりつけ医がいて、
「自宅で看取る」ことになっていた場合
→ 事前の説明どおり、医師に連絡し、死亡診断書を発行してもらう流れが一般的です。 - 突然のことで、医師が立ち会っていない場合
→ 救急(119番)に連絡し、指示に従います。
必要に応じて警察が来て状況確認をすることもあります。
いずれの場合も、
「責められているのでは…」と感じてしまうことがあるかもしれませんが、
状況を確認するのは「事実を整理するため」の手続きです。
分からないことや不安なことがあれば、
その場で遠慮なく質問してみてください。
子どもが遠方に住んでいる場合の考え方
親が実家で亡くなり、子どもが遠方に住んでいる場合も多いと思います。
- 交通手段(新幹線・飛行機・夜行バスなど)
- 宿泊先(実家・ホテル・親戚の家など)
- 仕事や学校への連絡
一度で全部を完璧に調整しようとするより、
- 「いつ出発するか」を決める
- ざっくりとした移動の目処を立てる
- 移動しながら、宿泊や細かい段取りを詰めていく
…くらいの順番で考えると、少しラクになります。
その場で決めなくていいこと
訃報直後に、次のようなことを急いで決める必要はありません。
- お墓の場所をどうするか
- 相続を誰がどれくらい受け取るか
- 家の片付けをいつ・どこまで行うか
これらは、少し時間をおいてから話し合ったほうが、冷静に決めやすいことでもあります。
今日のところは、「明らかに今日やらないといけないこと」だけに意識を向けてみてください。
葬儀社に電話するときのポイントと質問リスト
「どこの葬儀社に頼めばいいか分からない」という不安は、とても多いです。
ここでは、最初の電話のイメージを持てるようにしておきましょう。
どのタイミングで葬儀社に連絡すればいい?
一般的には、
- 危篤のとき:候補を1〜2社、メモしておく段階
- 亡くなったあと:安置先を決めるタイミングで連絡
という流れが多いです。
病院から「提携している葬儀社があります」と紹介されることもありますが、
必ずそこに依頼しなければいけないわけではありません。
もし自分たちで候補を考えたい場合は、
- 「病院で紹介された葬儀社」
- 「自分たちで調べた葬儀社」
を含めて、2社くらいに話を聞いてみるのも選択肢です。
最初の電話で伝える内容(メモ例)
電話をする前に、メモ帳かスマホに、次のような項目を書いておくと安心です。
- 故人の名前
- 年齢
- 亡くなった(もしくは危篤の)場所(病院名・施設名・自宅など)
- 連絡しているあなたとの続柄
- 今いる場所(病院にいる/これから向かう など)
例として、こんな伝え方があります。
「父が〇〇病院で亡くなりまして、葬儀のことで相談したくお電話しました。
いま家族が病院にいますが、このあとどのように動けばよいか、
ご遺体の安置を含めて教えていただけますか?」
細かい敬語や言い回しよりも、
状況が伝わることのほうが大切です。
上手に話そうとしなくて大丈夫です。
比較したいときに聞いておきたい質問リスト
もし、葬儀社を比較したい場合は、こんな質問をしてみましょう。
- どのエリアまで対応しているか
- 迎えに来てもらえるタイミングはどれくらいか
- もっともシンプルなプランの概算費用
- 安置室を利用する場合の費用と、面会ができる時間帯
- 宗派や菩提寺との付き合いに、どう対応してくれるか
すべてを一度に聞けなくてもかまいません。
「いまは安置先が決まれば十分」と割り切るのもひとつです。
家族・親戚・職場への連絡テンプレ

連絡は、「あとから順番に増やしていく」くらいの気持ちで大丈夫です。
親戚にはどの範囲まで連絡する?
最初の24時間で連絡するのは、主に
- きょうだい
- 故人と特に親しかった親戚
- 実務で協力してもらえそうな人(喪主候補など)
に絞ってかまいません。
遠い親戚や、友人・知人への連絡は、
葬儀の日程が見えてからでも間に合うことが多いです。
電話・LINE・メールの使い分け
- 特に近い家族(きょうだい・親戚)…電話で一報
- すぐに出られなさそうな人…「あとで折り返してほしい」とメッセージを残す
- 日程などの詳しい情報…LINEやメールで共有
といったように、「最初の連絡」と「詳細の共有」を分けるとラクになります。
そのまま使えるひと言メッセージ例
電話での第一声の例
「急なお電話でごめんなさい。
〇〇(続柄:父・母など)が先ほど亡くなりました。
いま病院にいて、これから葬儀の日程などを決めていくところです。
詳しいことが分かったら、あらためて連絡します。」
LINEやメールの例(家族・親戚向け)
「〇〇(父・母など)が、本日〇時ごろに亡くなりました。
いま病院(または自宅)で、これから葬儀の日程を決めていきます。
詳しいことが分かったら、改めて連絡させてください。」
職場への連絡例
「お疲れさまです。〇〇です。
本日、親が亡くなり、急ぎ帰省(または病院へ向かう)することになりました。
数日は休暇(または在宅勤務)をお願いしたく、
詳細が分かり次第、またご連絡いたします。」
文面はこれをベースに、
あなたや家族らしい言葉に少し変えてもらえればOKです。
今日やらなくていいこと・数日後で十分なこと
不安が大きいほど、「今すぐやらなきゃ」と感じやすいものです。
ここでは、あえて「今日やらなくていいこと」をリストにしておきます。
手続き系のこと
- 生命保険・医療保険の請求
- 年金や健康保険の手続き
- 銀行口座・投資・公共料金などの名義変更・解約
これらは、
葬儀が終わってから少しずつで大丈夫です。
それぞれの窓口にも、「いつまでに何をすればよいか」の案内があります。
「そもそも、どんなお金や手続きが関係してくるのか」を
もう少し整理しておきたいときは、
👉「親が元気なうちにしておくべきお金と手続きのこと」も参考になると思います。
相続・遺品整理のこと
- 遺言書の内容の確認
- 財産の洗い出し
- 相続税がかかるかどうかの確認
- 家の片付け・遺品整理
これらは、数週間〜数カ月かけて進めていくものです。
今日、方向性だけ決めておく必要はありません。
「今は悲しんでいても大丈夫」という話
親が亡くなった直後は、
「ちゃんとしなきゃ」「しっかりしなきゃ」と自分を奮い立たせようとして、
自分の気持ちを後回しにしてしまいがちです。
でも、ちゃんと悲しんでいいし、
途中で涙が出てきて動けなくなることがあっても、それは当然のことです。
もし周りに頼れるきょうだいや親戚がいるなら、
「今日はここまでお願いしてもいい?」と
素直に助けを求めてみてください。
具体例:Aさんのケースで見る「最初の24時間」
少しイメージしやすくするために、
架空のAさんのケースをまとめてみます。
危篤の連絡から病院へ向かうまで
- 夜22時ごろ、実家近くの病院からAさんに電話
- 「お父さまの容体が急変し、今夜が山かもしれません」と伝えられる
- Aさんは、家族に一言だけ伝えてから、
深夜の高速バスで向かうことを選ぶ
このときAさんは、
- スマホ・充電器・現金・着替え・メモ帳
- 父の保険証(手元にあったため)
だけを持って、慌てすぎずに出発しました。
看取りから葬儀社への最初の連絡まで
- 翌朝、病院で父の最期を看取る
- 医師から経過の説明と、死亡診断書の話を聞く
- きょうだいと相談し、
事前にメモしておいた葬儀社と、
病院が紹介する葬儀社の2社に連絡
2社の話を聞いたうえで、
まずはご遺体の安置をどうするかだけ決め、
葬儀の形式や日程は、後で家族が揃ってから話し合うことにしました。
翌日以降に回したこと
Aさんが「翌日以降に回したこと」は、たとえば次のようなものです。
- 職場への詳しい報告(まずは一報だけ入れた)
- 遠い親戚・友人への連絡
- 保険会社や市役所での手続き
- お墓をどうするかの話し合い
「今日の自分たちにできることはやった」と感じられたことで、
悲しみの中にも、少しだけ落ち着いて過ごせる時間が生まれました。
Aさんのように、「今日はここまで」と区切りをつけながら進めるだけでも十分です。
この先、数日〜四十九日までの流れは、
👉「訃報から四十九日までの流れ|いま不安でも大丈夫。やることを一緒に整えましょう」で、
当日〜翌日・中盤・四十九日前後の3つのケースに分けて整理しています。
今日やる一歩・チェックリスト(まとめ)

最後に、「この記事を読み終わったあとにできる一歩」をまとめます。
今日やることチェックリスト
- 親のそばへ向かう準備ができた
- 病院・施設での流れのイメージを持った
- 葬儀社の候補を1〜2社メモした
- すぐ連絡すべき家族・親戚・職場に、一報を伝えた
ここまでできていれば、最初の24時間としては十分すぎるくらいです。
心が追いつかないときに読んでほしいひと言
今は、何かを決めるたびに
「これでよかったのかな」と不安になるかもしれません。
でも、「いまの自分にできる精一杯」を重ねていくことが、
結果として、親にとっても、あなた自身にとっても、
いちばん優しい選択になっていきます。
あれもこれも完璧にしようとしなくて大丈夫です。
この1日を、なんとか一歩ずつ進んでいければ、それで十分です。思考中


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