突然、親や配偶者を亡くして「喪主をお願いします」と言われると、多くの人がこう思います。
「何をすればいいのか全然わからない」
「挨拶もマナーも不安だらけ…」
本当はゆっくり悲しみたいのに、現実には決めること・やることが次々とやってきます。
この記事では、「初めて喪主を務める人」が最低限知っておけば安心できるポイントを、
- 喪主の挨拶
- 喪主としての服装
- 香典の受け取り方・香典返しの考え方
という3つのテーマに分けて、やさしく整理しました。
葬儀全体の流れを先にざっくり知りたいときは、先に
を読んでおくと、全体像がつかみやすくなります。
完璧でなくて大丈夫です。
「ここだけ押さえておけばなんとかなる」という小さな安心材料として、手元に置いてもらえたらうれしいです。
喪主の役割と「完璧じゃなくていい」という前提
喪主って何をする人?
喪主は、ひと言で言うと
「葬儀全体の代表者」
です。
細かく分けると、次のような役割があります。
- 葬儀社との打ち合わせで、内容や規模を決める
- 日程や会場、参列者への連絡を家族と相談して決める
- 葬儀・告別式の場で挨拶をする
- 香典・供花などの「名簿の代表者」になる
とはいえ、全部を一人で完璧にやる必要はありません。
- 実務的なこと → 葬儀社の担当者がサポートしてくれる
- 親戚への連絡や受付 → きょうだいや親戚にお願いできる
- 会場での進行 → 司会や僧侶の方がリードしてくれる
喪主はあくまで「代表の名前」。
現場では、みんなで支え合いながら進んでいくイメージで大丈夫です。
葬儀全体の段取りを、日程ごとに整理したいときは、あわせて
も参考になります。
失敗しても大丈夫。大切なのは「ありがとう」を伝えること
「挨拶で噛んでしまったらどうしよう」「泣いて話せなかったら失礼かな」と不安になりますが、多くの参列者はこう思っています。
- 「大変な中、喪主を務めていてえらいな」
- 「今日は大変だろうけれど、少しでも力になれたら」
つまり、求められているのは完璧なスピーチではなく、感謝と報告の気持ちです。
この記事では、後半でそのまま読んで使える挨拶文も用意しています。
言葉が出てこないときは、それを少し変えて読めば十分です。
喪主の挨拶:基本パターンとそのまま使える例文

喪主の挨拶は「感謝 → 報告 → 決意」で考える
喪主の挨拶は場面によって違いますが、基本の流れは同じです。
- 感謝:来てくれた人・支えてくれた人へのお礼
- 報告:故人の生前の様子や、最期の様子を簡単に
- 決意:今後の家族のこと・見守ってほしい気持ち
この流れを頭に入れておけば、多少言葉が前後しても伝わります。
通夜での喪主挨拶の例文
通夜の挨拶は、短めでOKです。
本日はご多用のところ、父 ○○の通夜にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
生前、皆さまには大変お世話になりましたことを、故人に代わり心よりお礼申し上げます。父は ○月○日に、家族に見守られながら静かに息を引き取りました。
突然のことでまだ気持ちの整理がつきませんが、多くの皆さまにお見送りいただけることを、きっと喜んでいると思います。何かと行き届かない点もあるかと思いますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
「父」の部分を「母」「夫」「妻」などに変えて使えます。
告別式(葬儀)での喪主挨拶の例文
告別式の挨拶は、少しだけ故人の人柄に触れると温かい雰囲気になります。
本日はご多用のところ、故 ○○ ○○ の葬儀・告別式にご参列いただき、誠にありがとうございます。
喪主を務めます、長男の ○○ でございます。故人は、生前より皆さまに温かいお付き合いを賜り、家族一同、心より感謝申し上げます。
仕事一筋の人ではありましたが、家ではよく笑い、孫たちをとてもかわいがっておりました。○月○日に倒れ、そのまま帰らぬ人となりましたが、最期は家族に見守られ、穏やかに旅立っていきました。
きっと今も、皆さまに見送っていただいていることを喜んでいることと思います。今後は遺された家族で力を合わせてまいりますので、変わらぬご指導ご鞭撻を賜れましたら幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
ここも、長男か長女か、配偶者か、関係に合わせて書き換えてOKです。
会食(精進落とし)での挨拶の例文
通夜・告別式の後、会食(精進落とし)がある場合の一言です。
皆さま、本日はお忙しいところ、最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございます。
ささやかではございますが、故人をしのぶ席を設けさせていただきました。
どうぞお時間の許すかぎり、故人との思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。それでは、始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
「短く一言で済ませたい」ときの例文
人前で話すのが苦手な人は、無理に長く話さなくて大丈夫です。
どうしてもつらいときは、このくらい短くても失礼には当たりません。
本日はお忙しい中、父 ○○のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。
至らない点もあるかと思いますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
涙で詰まってしまったり、途中で言葉が止まっても問題ありません。
「一生懸命話そうとしている姿」そのものが、参列者には伝わります。
喪主の服装と身だしなみの基本

喪主の基本の服装(男性/女性)
喪主は「遺族の中で一番格式の高い装い」が基本です。
とはいえ、今はいわゆる「ブラックフォーマル」を着ていれば十分な場合がほとんどです。
男性
- 黒の礼服(シングルかダブルのブラックスーツ)
- 白のワイシャツ(無地)
- 黒のネクタイ
- 黒の靴下
- 黒の革靴(光沢が強すぎないもの)
女性
- 黒のワンピースまたはアンサンブルのブラックフォーマル
- 黒のストッキング
- 黒のパンプス(低めのヒール)
- アクセサリーは、つけるならパール程度(結婚指輪はそのままでOK)
ヘアスタイルは、派手になりすぎない・顔が隠れすぎないことを意識すれば大丈夫です。
葬儀の規模や形式によっては、服装の「きちんと度」も変わってきます。
予算や形式を含めて全体を整理したいときは、
も参考になります。
家族・子どもの服装はどこまで整えればいい?
喪主の家族も、可能であれば黒に近い服装を意識しますが、
- 小さな子ども
- 遠方から急いで駆け付けた家族
などの場合は、手持ちの「地味めな服」を優先して問題ありません。
例:
- 男の子:白シャツ+黒・紺・グレーのズボン
- 女の子:黒・紺・グレー系のワンピースやスカート
「真っ黒じゃないとダメ」ということはありません。
無理をして新品を買いそろえるより、子どもが動きやすい服を優先してOKです。
平服指定・急なときの「ベターな服装」
訃報によっては「平服でお越しください」と書かれていることもあります。
この場合の「平服」は、普段着ではなく“略式の礼装”という意味で使われることが多いです。
- 男性:ダークスーツ(黒・紺・グレー)+地味なネクタイ
- 女性:黒や紺など、落ち着いた色のワンピースやセットアップ
どうしても礼服が間に合わないときは、
- ジーンズやスニーカーを避ける
- 派手な柄・光るアクセサリーを避ける
この2つだけ意識して、手持ちの中で一番落ち着いた服を選べば十分です。
香典まわりの基本と、よくある悩み

香典の受け取り方と「誰が管理するか」
香典は通常、受付の係が受け取り、香典帳に記録していきます。
喪主本人が受付に立つ必要はありません。
流れのイメージ:
- 受付担当(親戚や友人)に事前にお願いする
- 受付で香典をお預かりし、名前を香典帳に記録
- ある程度まとまったところで、喪主か家族に預ける
香典の現金そのものは、当日中に金庫や銀行口座に移しておくと安心です。
誰が管理するか(喪主・配偶者・きょうだいで分担など)を、事前に一言決めておくとトラブルを防げます。
葬儀で動くお金全体をイメージしておきたいときは、
を読みながら、「香典はどのくらい費用の助けになるのか」を考えておくと安心です。
香典の金額の目安(親・きょうだい・親戚・友人)
喪主側は、基本的に香典を出しませんが、「喪主のきょうだい」や「親戚」として参列する場合は金額に迷います。
一般的な目安は次の通りです(地域差・家の習慣によって変わることがあります)。
- 親:1万円〜3万円
- きょうだい:1万円〜3万円
- 祖父母:1万円前後
- 親戚(おじ・おば・いとこなど):5千円〜1万円
- 友人・職場関係:3千円〜1万円
迷ったときは、
- 家族・親戚に「このくらいで考えているけれどどう?」と聞く
- 同じ立場のきょうだいと金額をそろえる
この2つを意識すると、後々気まずさが少なくなります。
香典帳と香典返しの考え方
香典帳(こうでんちょう)は、「誰からいくら頂いたか」を記録したものです。
将来、香典返しをするときの目安になるので、できるだけ丁寧に残しておきます。
香典返しの基本的な考え方は、
- 頂いた香典の「半額〜3分の1」程度を目安に
- 日持ちする食品やタオル・カタログギフトなど、形に残りすぎないものを選ぶ
です。
香典返しのタイミングは、四十九日以降に送るケースが多いですが、
通夜・葬儀の場で「即日返し(その場でお返しをお渡しする)」の形をとる地域もあります。
- 「うちの地域ではどうするのが普通か」
- 「葬儀社がどんな形を提案してくれているか」
を担当者に確認して、無理のない方法を選べば大丈夫です。
今後の法要やお墓のことも含めて整理したいときは、
を見ながら、「いつまでに何を決めるか」をざっくり把握しておくと安心です。
「香典は辞退したい」ときの伝え方
状況によっては、
- 「香典は頂かなくて大丈夫です」と伝えたい
- 「家族葬なので、ご厚志のご返礼は辞退したい」
という場合もあります。
案内状や訃報に書くときは、こんな言い回しがよく使われます。
なお、誠に勝手ながら御香典、御供花、御供物の儀は固くご辞退申し上げます。
家族葬で「香典は受け取るが、弔電・供花は控えてほしい」ときは、
なお、誠に勝手ながら御供花・御供物の儀はご遠慮申し上げます。
といった形でも大丈夫です。
当日を少しだけラクにするためのチェックリスト
喪主の持ち物チェック
喪主として当日持っていると安心なものを、簡単にまとめます。
- 数珠
- ハンカチ・ティッシュ(多めに)
- 小さめのメモ帳とペン(聞いたことをすぐメモできるように)
- 現金(タクシー・細かい立て替え用)
- 予備のストッキング・ハンカチ(特に女性)
- 常備薬(頭痛薬・胃薬など、体調を崩しやすい人は特に)
「全部用意しなきゃ」と思う必要はありません。
この記事を読む余裕があるときに、手元のかばんに少し足しておければ十分です。
危篤や訃報を受けてから最初の1日をどう過ごすかは、こちらの記事でさらに具体的にまとまっています。
事前に「誰かに頼んでおく」とラクになること
喪主が一人で全部を抱えると、本当に疲れてしまいます。
できるだけ、以下のような役割を誰かにお願いしておきましょう。
- 受付担当:香典の受け取り・香典帳の記録
- 会場案内役:親戚や高齢の参列者を席まで案内してくれる人
- 写真を撮る人:後から遺影やアルバムに使うため
- 喪主のサポート役:飲み物を渡してくれたり、「次はこの挨拶です」と声をかけてくれる人
きょうだいや親しい親戚、気心の知れた友人に、
「全部一人だと不安なので、××だけお願いしてもいい?」
と一言頼んでおくだけで、心の負担がかなり軽くなります。
まとめ:喪主を一人で抱え込まなくていい

初めて喪主を務めるとき、多くの人が
- 「失敗してはいけない」
- 「しっかりしなきゃいけない」
と自分を追い込みがちです。
でも本当に大切なのは、
- 故人を思い、できる範囲で送り出そうとしたこと
- 忙しい中、集まってくれた人への「ありがとう」の気持ち
この2つです。
挨拶の言葉が多少前後しても、服装が完璧でなくても、香典返しのタイミングが少しずれても、
「喪主として一生懸命だった」という事実は、きっと故人にも、参列者にも伝わります。
今後の流れ全体やお金のことが心配になったら、落ち着いたタイミングで、
も少しずつ読んでみてください。
「今すぐ全部は無理でも、今日できる一歩はこれだな」と感じてもらえたら、それで十分です。


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