親が元気なうちにしておくべきお金と手続きのこと

親が元気なうちにしておくべきお金と手続きのこと 相続・お金

親が元気なうちに話しておく「お金の話」は、思いやりのひとつ

親がまだ元気なうちは、
お金や手続きの話をするのを“なんとなく避けてしまう”人が多いものです。

「そんな話をしたら縁起でもない」
「親に失礼かもしれない」
そう感じて後回しにしてしまう気持ち、よく分かります。

けれども実際には、親が元気なうちだからこそできることがたくさんあります。
もし急に病気や事故が起きたとき、
お金の情報や手続きが分からず、子どもが困るケースは少なくありません。

この記事では、親の終活の中でも特に大切な「お金と手続き」について、
今のうちに確認しておきたいポイントをやさしく整理します。


お金の話は“準備”の話。ネガティブなことではない

日本では「お金の話は恥ずかしい」「親子で話すことではない」という風潮があります。
しかし、親の老後資金や口座情報を把握しておくことは、“トラブルを防ぐ安心の準備”です。

終活の一環としてお金を整理するのは、
親の「自分らしく生きたい」という思いを支えるためのもの。

「元気なうちに整理しておいたほうが、あとでみんなが安心できるね」

と、“前向きな話題”として始めるのがコツです。


確認しておきたい「お金と手続き」5つのリスト

親子が穏やかに家計や将来費用について話し合う様子

① 銀行口座と印鑑の整理

まず最初にしておきたいのは、銀行口座と印鑑の整理です。
長年使っていない口座や、本人も忘れている預金が見つかることもあります。

チェックリスト

  • メインで使っている銀行口座
  • 定期預金・年金受取口座
  • 印鑑(実印・銀行印・認印)の保管場所
  • ネットバンキングのID・パスワード

「もしも」のときに引き出せない…というトラブルを防ぐため、
家族の誰かが最低限の情報を把握しておくことが大切です。


② 保険・年金・医療の確認

保険や年金は、いざというときに家族が内容を知らないと手続きが止まります。

チェックしておきたいポイント

  • 生命保険・医療保険の契約内容と保険証券
  • 受取人が誰になっているか
  • 年金の種類(国民・厚生)と受取口座
  • 高額医療費制度・介護保険の利用可否

保険の書類は、どこに保管されているかをメモに残しておくだけでも安心です。
紙のままではなく、スマホで写真を撮っておくとすぐ確認できます。


③ 不動産・名義関係の整理

親が土地や家を所有している場合、名義や登記の確認は早めにしておくと安心です。
特に地方にある「空き家」や「相続未登記の土地」は、後々の手続きが複雑になります。

チェックリスト

  • 名義が誰になっているか(登記簿で確認)
  • 固定資産税の納付先
  • 売却・管理の希望(親が元気なうちに意思確認)

相続の話をする前に、まず「現状を把握する」だけでOK。
それが、家族が揉めないための最初の一歩です。


④ 公共料金・契約関係の整理

親の名義で契約しているものを一覧にしておきましょう。
電気・ガス・水道などのライフラインはもちろん、
最近は「スマホ・サブスク・ネット銀行」などデジタル契約も増えています。

メモしておくと便利な項目

  • 各契約の会社名・連絡先
  • 支払い方法(口座引き落とし or クレジットカード)
  • パスワードやID

家族で共有しておくと、万が一入院したときでも手続きがスムーズです。


⑤ 医療・介護の希望をまとめる

お金だけでなく、医療や介護に関する希望も非常に重要です。

たとえば:

  • 延命治療をどう考えているか
  • 入院・介護施設の希望
  • 緊急連絡先の共有

これらを話し合っておくと、家族が判断を迫られたときの負担を減らせます。

「お金」と「医療」は別の話のようで、実は密接に関わっています。
親の希望を聞くことが、最も大きな“心の整理”になるのです。


会話のきっかけに使えるフレーズ

お金や手続きの話は切り出しにくいもの。
そんなときに使える“柔らかい言い方”を紹介します。

  • 「この前ニュースで見たけど、最近は相続トラブルが多いみたいだね」
  • 「私も老後のために家計を整理してみようと思って」
  • 「もしものときに困らないように、一緒に見直してみない?」

「自分の話」をきっかけにすることで、親の警戒心を和らげられます。
“上から目線”にならないのがポイントです。


話し合いをスムーズにするコツ

● 話す場所は「日常の延長」で

改まった場ではなく、食事やお茶の時間など、リラックスした雰囲気で話すのがおすすめです。

● 書きながら進める

会話だけでなく、メモやノートにまとめながら話すと親も理解しやすく、記録にも残ります。
(のちにエンディングノートに転記すれば完璧です)

● 否定しない

親が「面倒だ」と言っても、まずは受け止める。
時間をおいて再度話題にするだけで前進します。


早めの準備が「親孝行」になる

親が元気なうちにこうした話をしておくことは、
“万が一の時に困らないため”だけではありません。

「子どもに迷惑をかけたくない」
「きちんと整理しておきたい」

そう思っている親は多くいます。
話すきっかけを作ってあげることこそ、一番の親孝行です。


実際にあったトラブル事例から学ぶ

名義変更の書類に「名義変更」「期限」の付せん、朱肉と印鑑

ケース①:保険の存在を知らず、申請が遅れた

→ 親が加入していた保険を家族が把握しておらず、給付金を受け取れなかった。

ケース②:ネット銀行のパスワードが分からない

→ ログインできずに相続手続きが遅延。
 スマホやメールアドレスの管理も重要。

ケース③:名義が親のままの土地が放置

→ 相続登記義務化により、放置すると罰金の可能性も。
 早めの確認が安心です。


専門家に相談するタイミング

すべてを家族で抱え込む必要はありません。
下記のようなタイミングで、専門家への相談を検討しましょう。

相談内容相談先
相続・名義変更弁護士/司法書士
保険・年金・税金社会保険労務士/税理士
家計の見直しファイナンシャルプランナー(FP)

一度プロに相談しておくことで、
その後の手続きが驚くほどスムーズになります。


まとめ:「お金の整理」は“安心の整理”

親のお金や手続きの話は、決して縁起でも重たい話でもありません。
それは「家族みんなが安心して生きていくための準備」。

終活とは、命の終わりを考えることではなく、
「これからを安心して生きるための整理」です。

親が元気な今こそ、明るい気持ちで話を始めましょう。
それが、未来の自分たちへの最高のギフトになります。

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