「義理の親のことだから、できるだけ頑張らなきゃいけないのかな」
「でも、正直もうしんどい…。どこまで関わるのが普通なんだろう?」
そんなふうに、義理の親の終活・介護との距離感に悩んでいる方も多いと思います。
結論から言うと、
義理の親の終活・介護は、「全部自分が背負うもの」ではありません。
- パートナーと話し合いながら
- 自分の生活や心も守れるラインを決めて
- 「できること・できないこと」に線を引いたうえで関わってよい
この記事では、
- 義理の親の終活・介護がしんどくなりやすい理由
- 「どこまで関わるか」の考え方
- パートナーとの話し合いのコツ
- 義理の親との距離感を保つヒント
- 心が折れそうなときのセルフケア
を、一緒に整理していきます。
協力はするけれど、主役ではない
最初に、この記事のポイントをまとめます。
義理の親の終活・介護は、
「できること・できないことの線を引いたうえで、パートナーと一緒に対応していくもの」です。
- 「いい嫁・いい婿」を目指して何でも引き受ける必要はない
- “自分の親の責任の中心はパートナー側”という前提を忘れない
- あなたは「協力はするけれど、主役ではない」立ち位置でOK
- しんどさが限界に近いときは、早めに仕事面も含めて整えることが大切です
(仕事との両立が不安な方は「仕事と介護の両立が不安なあなたへ|会社への伝え方&介護休業・介護休暇の基本」も参考になります)
なぜ、義理の親の終活・介護はこんなにしんどいのか

1. 「家族だから頑張らなきゃ」と思いすぎるから
義理の親との関係が悪いわけではないほど、
- いい嫁・いい婿でいたい
- 冷たいと思われたくない
- パートナーの力になりたい
という気持ちが強くなり、自分の負担を後回しにしがちです。
気づいたら、病院の付き添いも、役所の手続きも、施設見学も、
ほとんど自分が窓口になっていた…
という状態になりやすくなります。
2. パートナーとの役割分担があいまいだから
本来、「自分の親の終活・介護の責任の中心」は、その子ども(=あなたのパートナー)側にあります。
ですが現実には、
- パートナーが「仕事が忙しい」を理由に、ほとんど動かない
- 義理の親が、話しやすいあなたを頼ってくる
- 義理きょうだい(義兄・義姉など)も、なんとなくあなたに任せる雰囲気になる
といったことが起きやすく、
いつの間にか「義理の家のメイン担当」になってしまうことがあります。
兄弟姉妹との役割分担が気になるときは、
「兄弟姉妹で揉めないための『実家と相続』の話し方」も、考え方の整理に役立ちます。
3. 自分の親・自分の生活が後回しになりやすいから
義理の親のことで手一杯になると、
- 自分の親のことまで手が回らない
- 子どもや仕事、自分の体調が後回しになる
- 気づいた頃には、かなり疲れ切っている
ということも少なくありません。
「自分の親との関係自体がしんどい」という場合は、
「親と折り合いが悪い・『毒親』だったときの終活と見送り方」のように、“距離の取り方”をテーマにした記事もあわせて読んでみると、自分の気持ちを整理しやすくなります。
義理の親の終活・介護は「線引き」して関わっていい
改めて、ここが大事なポイントです。
義理の親の終活・介護には、
「できること・できないことの線を引いて関わる」という前提を持ってOKです。
なぜ線引きしていいのか
- あなたには、自分の生活・自分の親・自分の健康を守る責任もある
- すべてを引き受けてしまうと、パートナーや義理の家族も、
「それが当たり前」と感じてしまうリスクがある - 無理をして倒れてしまうと、結果的に義理の親もパートナーも困る
「冷たいから線を引く」のではなく、
“長く関わり続けるために、現実的なラインを決める”というイメージに近いと思ってもらえるとよいかなと思います。
ステップ1:まず「自分の中の線」を決める

いきなりパートナーや義理の親と話す前に、
自分の中で『ここまではできる』『ここから先は難しい』を言葉にしておくことが大切です。
1. 関わり方を3段階でイメージしてみる
たとえば、次のような3段階で考えてみます。
レベル1:情報共有・相談には乗る(頭と気持ちのサポート)
- パートナーが義理の親と話した内容を聞く
- 一緒にインターネットやパンフレットで情報を調べる
- 選択肢を整理するのを手伝う
👉 実際に動くのはパートナーが中心。あなたは“参謀役”というイメージです。
レベル2:一部の手続き・付き添いには協力する
- 仕事や予定が合うときに、病院の付き添いに一緒に行く
- 役所の手続きに同行する
- 介護サービスや施設の見学について行く
👉 ただし、「毎回必ず」ではなく「行けるときだけ」と、自分の中でルールを決めておくのがおすすめです。
介護サービスを検討するときは、
「限界までがんばる前に、『デイサービス・ショートステイ』という選択肢を」や
「親の介護施設の種類と選び方」も、家族会議の材料として役立ちます。
レベル3:必要に応じて“窓口役”を引き受ける(範囲と期限を決めて)
- パートナーが単身赴任・海外勤務などで、物理的に動けない
- 義理の親があなたのほうが話しやすく、どうしてもあなたに電話が来る
こんなとき、一時的にあなたが窓口になる場合もあります。
その場合は、
- 「〇月までは」「施設が決まるまで」など期限を決める
- 「施設探しまで」「手続きのサポートまで」などテーマを区切る
といった形で、“いつまでも・なんでも”にならない工夫をしておくと、あとが楽になります。
2. 自分の「守りたいもの」を書き出しておく
- 自分の仕事
- 自分の健康(持病や体力)
- 自分の親や家族(子ども)との時間
- 趣味や休息の時間
これらを踏まえて、
「ここは削れない」
「この範囲なら協力できそう」
というラインを、紙やスマホにメモしておくと、
あとでパートナーと話すときの“軸”になります。
ステップ2:パートナーと話すときのポイントと伝え方

次に、パートナーとの話し合いです。
ここを飛ばして、義理の親や義理きょうだいと直接やりとりを続けてしまうと、
負担が偏ったまま固定されてしまいやすくなります。
1. 「責める」のではなく、「一緒に考えたい」と伝える
正論だからこそ言いたくなるのが、こんな言葉です。
- 「なんで全部私にやらせるの?」
- 「あなたの親なんだから、あなたがやるべきでしょ?」
気持ちはとてもよく分かるのですが、
これだけだと相手が身構えてしまい、建設的な話になりにくいことがあります。
言い換えの例
- 「正直、ちょっとしんどくなってきてて…。
これからの役割分担を一緒に考えたいんだ」 - 「あなたの親のことだから、基本はあなた主体で進めてほしい。
そのうえで、私がどこまで協力できるか整理したくて」
こんなふうに、「責めたい」ではなく「一緒に考えたい」スタンスを前に出すと、話がしやすくなります。
仕事との両立も不安なときは、
「仕事と介護の両立が不安なあなたへ|会社への伝え方&介護休業・介護休暇の基本」を一緒に読みながら、
「仕事はこうしたい」「介護はこうしたい」と相談してみるのも一つの方法です。
2. 「3つの負担」を見える化する
なんとなく「大変」と伝えるより、
具体的に負担を言葉にすると、相手にも伝わりやすくなります。
- 時間の負担:通院付き添い、電話、移動時間 など
- お金の負担:交通費、細かい立て替え など
- 気持ちの負担:疲れ・プレッシャー・イライラ など
たとえば、
- 「ここ数カ月、義理の親のことで週○時間くらい使っていると思う」
- 「交通費や細かい出費で、月にこれくらいかかっている」
- 「最近、夜もこのことばかり考えてしまって、気持ちがずっと張り詰めている」
といった形で、
数字や具体例を交えて共有するのがおすすめです。
お金まわりの不安が大きいときは、
「親のお金を“勝手に使わないために”|通帳管理・立て替え精算・成年後見の基礎ルール」も、
「どこまで触っていいか」「記録はどう残すか」を考えるヒントになります。
3. 「できる提案」もセットで伝える
しんどさだけを伝えると、
パートナーの側も「どうしたらいいのか分からない」と固まってしまうことがあります。
- 「私は、今後はレベル2までなら協力したいと思ってる」
- 「病院の付き添いは、月○回までなら行けそう」
- 「手続きの電話は、原則あなたからしてほしい。
どうしても難しいときは一緒に考えよう」
というように、「ここまではやる」という提案も一緒に出すと、
話が前に進みやすくなります。
ステップ3:義理の親との距離感を整えるコツ
実際に動き始めるとき、
義理の親とどれくらい直接やり取りするかもポイントになります。
1. 基本は「パートナー経由」を軸にする
- 電話や連絡の窓口
- 重要な決定(治療方針・施設・住まい など)
- お金に関わる話
こういった大事な部分は、基本的にパートナーを通して進めることをおすすめします。
こんな言葉を“口ぐせ”にしておく
- 「大事なことなので、いったん〇〇さん(パートナー)とも相談しますね」
- 「最終的には、〇〇さんからお返事させてもらいますね」
「私一人で決める立場ではありません」という姿勢を、
やんわりと示しておくイメージです。
2. 距離を置きたいときの言い方の例
距離を取りたいときほど、
角を立てずに「限界がある」ことを伝えておけると安心です。
- 「私はあくまで“お手伝い役”なので、できる範囲で関わらせてもらえればと思っています」
- 「私だけで判断すると、あとで△△さん(きょうだいなど)ともめてしまうかもしれないので…」
- 「最近ちょっと体調が良くなくて、頻繁には動けないかもしれません」
義理の親との関係が近すぎると、
自分の心がすり減ってしまうこともあります。
外部の力・公的サービスも積極的に使っていい

「家族だけでなんとかしなきゃ」と思いすぎると、
どうしてもどこかで限界が来てしまいます。
1. まずは「地域包括支援センター」に相談
義理の親が住んでいる市区町村には、
高齢者支援の窓口として「地域包括支援センター」があります。
- 介護保険の申請
- ケアマネジャーとのつながり
- 家族の相談
などをまとめて相談できる場所です。
パートナー本人が相談の中心になるのが基本ですが、
不安であれば「一緒についていく」という形でサポートするのも一つです。
2. 介護サービス・施設を早めに視野に入れる
「まだ家でなんとかなるから…」と先延ばしにしていると、
いざというときに選択肢が限られてしまうこともあります。
- デイサービス
- ショートステイ
- 有料老人ホームやサ高住 など
については、
「限界までがんばる前に、『デイサービス・ショートステイ』という選択肢を」や
「親の介護施設の種類と選び方」で、
家族目線で整理されています。
「このまま自宅で頑張り続ける」の一択ではなく、
“外の手”を借りることも「家族を守る選択」だと考えてみてください。
3. お金や相続の不安は、早めに「情報」をそろえておく
- 親のお金をどこまで触っていいのか
- 立て替えたお金はどう精算するのか
- 将来の相続で揉めないために、何を確認しておくといいのか
といった不安には、
なども参考になります。
それでもしんどいときのセルフケア
義理の親の終活・介護に関わっていると、どうしても感情が揺れます。
- 「ここまでやっても感謝されない…」
- 「もっとやってあげるべきだったのでは」
- 「冷たいと思われたかもしれない」
そんな気持ちになるのは、とても自然なことです。
1. 「できていないこと」ではなく「やったこと」に目を向ける
- 付き添いに行った日
- 情報を調べた時間
- パートナーの愚痴を聞いたこと
など、「自分がやったこと」を、意識して数えてみてください。
「あれもこれもできなかった…」ではなく、
「ここまではやれた」と自分を認めてあげることが大切です。
2. 信頼できる人・場に本音を吐き出す
- 友人
- カウンセラーや専門職
- オンラインコミュニティ
など、家族以外の場所で本音を出せると、
気持ちの余裕が少し戻ってきます。
3. 「介護うつ」のサインに気づいたら、立ち止まってOK
- 寝ても疲れが取れない
- いつもイライラしていて、親やパートナーにきつく当たってしまう
- 何をしても楽しく感じられない
こんなサインが続いているときは、
「限界までがんばる」前に立ち止まることも、とても大事な一歩です。
心のしんどさが強いと感じるときは、
「介護で心が折れそうなあなたへ|“介護うつ”になる前にできる7つのこと」も、
自分の心を整えるヒントになると思います。
まとめ:義理の親の終活・介護は「一緒に背負う」ではなく「一緒に考える」
最後に、この記事のポイントをもう一度整理します。
- 義理の親の終活・介護は、「全部自分が背負う」必要はない
- まずは、自分の中で「ここまではできる」「ここから先は難しい」を言葉にする
- パートナーとは、「責める」ではなく「一緒に考えたい」というスタンスで話す
- 基本はパートナー主体で進め、あなたは“お手伝い役”という立ち位置でOK
- 義理の親とのやり取りは、「パートナー経由」「自分だけで決めない」を意識する
- 介護サービス・施設・公的制度・専門家など、「外の手」も遠慮なく頼ってよい
- 自分の仕事・生活・健康を守ることも、「家族を長く支えるための大事な役割」
「いい嫁・いい婿」でいることよりも、
あなた自身も含めた家族みんなが、長く持ちこたえられる形を選んで大丈夫です。
そのうえで、「このラインで関わる」と決めたあなたの選択は、
ちゃんと「家族のことを考えた、現実的でやさしい選択」なのだと思います。


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