はじめに:親の変化に気づいて、不安になっているあなたへ
最近、親の様子が前と違う…。
- 同じ話を何度も繰り返す
- 財布や通帳をよく失くす
- 今まで普通にできていた家事が、なんとなくおぼつかない
ふとした瞬間に、
「もしかして、認知症の始まりなのかな…?」
と不安になり、インターネットで「親 認知症かも」「親 物忘れ 受診」などと検索して、
このページにたどり着いたのかもしれません。
頭では「年齢のせいかな」と思いながらも、
心のどこかで「見て見ぬふりをしてはいけない気がする」という感覚もある。
そんな揺れる気持ちの中で、
何から手をつけたらいいのか分からない状態になっている方は多いです。
「親の終活全体も気になっている」という場合は、
親の終活の最初の一歩を整理した
「終活は何から始める?今日からできる最初の3ステップ」も、あとであわせて読んでみてください。
このページでは、「認知症かも?」と感じた今この瞬間の不安に絞ってお話しします。
結論:診断はお医者さんの仕事。家族がやることは3つだけ
先に結論からお伝えすると、
この段階であなたがやるべきことは、次の3つだけです。
- 気になる様子をメモに残す
- 「相談先」を決めて、医療・専門職につなげる
- 家族で情報を共有し、一人で抱え込まない体制をつくる
認知症かどうかの判断は、家族の役割ではありません。
診断はお医者さんや専門職の仕事です。
あなたが担うのは、
日々の変化を「記録」し、
適切な相談先を「選び」、
家族で「支え合う土台」をつくること。
それだけで十分です。
ここからは、それぞれを具体的に見ていきます。
ステップ1:気になる様子を「事実ベース」でメモする

なぜ、メモが大事なのか?
不安になると、つい
「最近お母さん、なんか変なんだよね」
と、ふわっとした言い方になりがちです。
もちろん、その「なんか変」という感覚はとても大切なサインです。
ただ、医師や相談窓口に話すときには、
- いつ頃から
- どんな変化が
- どのくらいの頻度で起きているのか
といった具体的な事実があると、判断やアドバイスがぐっと正確になります。
メモしておきたい4つのポイント
完璧な記録を目指す必要はありません。
まずは、次の4つを思いつく範囲で書き出してみましょう。
- 気になり始めた時期
- 例:「ここ1〜2ヶ月で急に目立ってきた」「半年前からじわじわ増えている」 など
- 具体的な出来事・行動の変化
- 同じ質問や話を何度も繰り返す
- 財布・通帳・鍵を頻繁に探している
- 得意だった料理や買い物でミスが増えた
- 今まで迷わなかった道で迷うことが増えた
- 気になる言動や様子
- 「通帳を盗まれた」とよく言う
- 物忘れを指摘すると強く怒る・取り繕う
- ぼーっとしている時間が増えた
- 夜眠れていない様子がある
- 持病や飲んでいる薬
- 高血圧、糖尿病、心臓病などの持病
- 睡眠薬や精神科の薬の服用の有無
メモは“雑でいい”。続けやすさの方が大事
最初から「立派な記録表」を作ろうとしなくて大丈夫です。
- スマホのメモアプリ
- 手帳の空いているスペース
- 家のカレンダー
など、続けやすい場所に、日付と一言メモを書くだけでも十分です。
例)
4/3 夕食を食べたことを忘れて、もう一度支度をしようとした
4/10 「通帳がない、盗まれた」と1日に3回言っていた
4/18 家から500mほどのスーパーへの道で迷い、電話があった
こうしたメモが数週間分あるだけで、
医師や相談窓口が状況を理解するスピードがぐっと速くなります。
ステップ2:「相談先」を決めて、一人で悩まない状態にする

「親が認知症かも」と思ったときの相談先3つ
「認知症かもしれない」と感じたときの主な相談先は、次の3つです。
- かかりつけ医(いつも通っている病院・クリニック)
- まず相談しやすい相手です。
- 簡単なチェックをしてくれたり、必要に応じて専門医を紹介してくれます。
- もの忘れ外来・認知症外来
- 大きめの病院や中核病院にある専門外来です。
- 専門的な検査や診断を受けられます。
- 予約が必要な場合が多いので、病院のホームページや電話で確認しましょう。
- 地域包括支援センター
- 各市区町村に必ず1つ以上設置されている、高齢者の総合相談窓口です。
- 医療だけでなく、介護サービスや生活の困りごとまで含めて相談できます。
- 「どこに相談したら良いか分からない」段階で連絡してOKです。
「いきなり病院はハードルが高い…」と感じる場合は、
まず地域包括支援センターに電話して、状況を話してみるのがおすすめです。
そこで、医療機関や介護保険の申請など、次に取るべき行動の案内をしてもらえます。
介護保険の仕組みや、要介護認定の流れをあらかじめ把握しておきたいときは、
「初めての介護保険・要介護認定の取り方入門」で、
「相談 → 申請 → 認定調査 → 結果 → ケアプラン」という一連のステップを整理しています。
「この先どう進んでいくのか」の全体像が欲しいときに役立ちます。
電話や受診の前に整理しておくと良いこと
電話をかける前に、ステップ1のメモを手元に用意しておきましょう。
次の項目を簡単にまとめておくと、話がスムーズです。
- 親の年齢・性別
- 同居か別居か(遠距離かどうか)
- いつ頃から、どんな様子が気になっているか
- 持病や通院中の病院の有無
- 現時点で、家族として何に困っているか・不安に感じているか
電話での話し方イメージ
「〇〇市在住の△△と申します。
80代の母について相談したくお電話しました。
半年ほど前から物忘れが増え、最近は通帳を盗まれたと言うことが増えてきました。
もともと××の病院に通っているのですが、
認知症の心配がある場合、どこに相談すればよいか教えていただけますか?」
このように「状況」と「知りたいこと」をセットで伝えられると、
相手も対応しやすくなります。
親本人にはどう伝えたらいい?
ここが一番悩ましいところかもしれません。
- 「自分が認知症かもしれない」と言われて怒ってしまう
- 「私は大丈夫!」と頑なに否定する
というケースもよくあります。
そんなときは、「認知症かどうか」という言葉をいったん横に置いて、
- 「最近、少し物忘れが増えてきて心配だから」
- 「薬のことも含めて、いつもの先生に一度相談してみようか」
と、体調チェックの延長線上として提案するのも一つの方法です。
例)
「最近ちょっと疲れやすそうだし、ついでにもの忘れのことも相談してみよっか。
私も一緒に行くからさ。」
どう伝えるかは、親御さんの性格や親子関係にもよります。
完璧な言い方を探そうとせず、
「心配している」「一緒に考えたい」という気持ちを素直な言葉で伝えてみてください。
ステップ3:家族で情報を共有して「味方」を増やす

家族内の“温度差”が、あとからのストレスになる
認知症やその手前の段階では、次のようなことが起こりがちです。
- 毎日世話をしている人は「かなり大変」と感じている
- たまにしか会わないきょうだいは「まだ大丈夫じゃない?」と言う
- 親本人は「何も問題ない」と主張する
この温度差を放置したまま介護が始まると、
あとから不満やケンカにつながりやすくなります。
だからこそ、早い段階から「情報共有」をしておくことが大切です。
まず共有したいのは、「感情」ではなく「事実」と「予定」
家族と話すとき、いきなり
- 「お母さん、絶対認知症だよ!」
- 「なんで心配してくれないの?」
と感情から入ってしまうと、相手も身構えてしまいます。
最初に共有したいのは、次の2つです。
- 今起きている「事実」
- いつ、どんな様子があったのか(ステップ1のメモ)
- 今後の「相談予定」
- 「〇月〇日に、かかりつけの病院で相談してみようと思っている」
- 「まず地域包括支援センターに電話してみるつもり」 など
例)
「最近、お母さんにこういうことが増えてきてね…(事実の共有)。
私一人だと不安だから、
〇日にいつもの病院で一度相談してみようと思っているんだけど、どうかな?」
このように、「心配」+「具体的な提案」をセットにすると、
きょうだいも状況を受けとめやすく、協力を申し出やすくなります。
「一人で抱え込まない」ための役割分担のイメージ
完全に平等な負担を目指す必要はありません。
できる範囲で、役割を分けていきましょう。
- 近くに住んでいるきょうだい
- 日々の様子見、受診への付き添いなど「時間ベース」のサポート
- 遠方に住んでいるきょうだい
- 定期的な電話やオンライン通話
- 交通費や一部費用の支援など「お金ベース」のサポート
- ITに強い家族
- 情報収集、オンライン手続きのサポート
LINEグループやメッセンジャーなどで
- 今日あったこと
- 医師や専門職から聞いたこと
- 次にやるべきこと
を共有しておくと、「自分だけが全部背負っている」という感覚が薄れやすくなります。
ここまでのまとめ:完璧を目指すより「一歩早めの相談」を

もう一度、3つのステップを振り返ります。
- 気になる様子をメモに残す
- 日付と出来事を簡単に書くだけでOK
- 相談先を決めて、医療・専門職につなげる
- かかりつけ医/もの忘れ外来/地域包括支援センター
- 家族で情報を共有し、一人で抱え込まない体制をつくる
- 事実と予定を共有し、役割分担の土台を作る
認知症かどうかを、ネット情報だけで決めつけてしまうと、
必要以上に落ち込んでしまったり、逆に「まだ大丈夫」と先延ばしにしてしまうこともあります。
大切なのは、
「なんとなく変だな」というあなたの感覚を大事にして、
少し早めに専門家につなげていくこと。
介護や医療まわりの全体像を整理したいときは、
サイト内の「介護・医療」カテゴリから、
介護保険やお金のことなど関連する記事をまとめてチェックできます。
そのうえで、このページで紹介した3ステップのうち、
今日できることを1つだけでもやってみることが、
親御さんのこれからの生活を守ることにつながり、
同時に、あなた自身の心と体を守ることにもなります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 物忘れはあるけれど、日常生活はなんとか回っています。それでも相談した方がいいですか?
A. 基本は「迷ったら相談」です。
認知症でなくても、別の病気や薬の影響で物忘れが強くなっている場合もあります。
心配を一人で抱えるよりも、
「念のため聞いておく」感覚で相談してみることをおすすめします。
Q2. 親が「病院なんて行きたくない」と拒否したら?
A. いきなり「認知症の検査をしよう」と切り出すのではなく、
- 「最近ちょっと疲れやすそうだから」
- 「血圧も気になるし、ついでに見てもらおう」
など、全身チェックの一部として相談する形にすると受け入れやすいことがあります。
どうしても難しい場合は、地域包括支援センターに
「本人が受診を嫌がるケース」として相談し、
対応の仕方についてアドバイスをもらいましょう。
Q3. きょうだいが「そんなに心配しなくていい」と取り合ってくれません。
A. 感情をぶつけるのではなく、「メモ」と「相談予定」を見せるのがおすすめです。
「こういうことが、この1ヶ月で何回かあってね…
私一人だと判断がつかないから、
一度病院で相談してみようと思っている」
という形で、「一緒に考えてほしい」というスタンスを伝えてみてください。
それでも難しい場合は、まずあなた一人で相談に行ってしまっても構いません。
専門職からの客観的な話を、あとから家族に共有する形でも十分です。
最後に:今、この記事を読んでいるあなたへ

「親が認知症かもしれない」と感じた瞬間から、
多くの人は、何も手につかないような不安に襲われます。
その中で、この記事にたどり着き、
ここまで読んだということは、
すでに「大切な一歩」を踏み出している
ということでもあります。
あとは、
- 今日から、できる範囲でメモをつけ始める
- 1週間以内に、どの相談先に連絡するか決める
- 家族の誰か1人でいいので、状況を共有する
このうちどれか1つでも、具体的な行動につなげてみてください。
その小さな一歩が、
親御さんのこれからと、あなた自身のこれからを
少しずつ守ってくれるはずです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、
診断や治療を行うものではありません。
具体的な症状や対応については、必ず医療機関や専門窓口にご相談ください。


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