初めての介護保険・要介護認定の取り方入門

介護・医療

親の介護が心配になったら読む記事

「そろそろ介護が必要になるかも…」
でも、どこに相談して、何から始めればいいのか分からない。

そんなときの「最初のガイド」として読んでもらえるようにまとめました。

ざっくりお伝えすると、

  • 親の介護が心配になったら
    市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談して、要介護認定の申請をするのが入口
  • 申請すると、
    認定調査 → 主治医意見書 → 審査会 → 結果通知という流れで、要介護度が決まる
  • 難しい制度の細かいところより、
    「どこに相談するか」「流れの全体像」を知っておくことが何より安心につながります

この記事では、

  • 介護保険・要介護認定のしくみ
  • 申請〜結果が出るまでの流れ
  • 家族として、事前に準備しておくとラクになるポイント

を、できるだけやさしく整理していきます。

1. 介護保険と要介護認定を、まずはざっくり整理する

1-1. 介護保険ってどんな仕組み?

介護保険は、
「介護が必要になったときの費用を、社会全体で支え合うための公的な保険制度」です。

被保険者(加入している人)は大きく2つに分かれます。

  • 第1号被保険者:65歳以上の人
    • 原則として、原因を問わず
      要支援・要介護状態になったときに介護保険サービスを利用できる
  • 第2号被保険者:40〜64歳で医療保険に入っている人
    • がん・脳卒中・認知症など、
      老化に伴う特定の病気が原因で介護が必要になった場合に利用できる

制度全体の概要は、厚生労働省の
「介護保険制度の概要」でも公開されています。

1-2. 要介護認定って何を決めるもの?

要介護認定は、

  • その人に どれくらい介護や支援が必要か
  • 介護保険で どのくらいのサービス量まで使えるか

を、公平な基準で判定する仕組みです。

結果は、だいたいこの3パターンに分かれます。

  • 非該当
    • 介護保険サービスの対象外
    • ただし、市区町村独自の高齢者向けサービスが使えることもあります
  • 要支援1・2
    • 日常生活は何とかこなせるけれど、
      放っておくと介護が必要になりそうな状態
  • 要介護1〜5
    • 日常生活に介助が必要な状態
    • 数字が大きくなるほど、必要な介護の量が多いイメージ

「要介護度が軽い=いい・重い=悪い」ではなく、
今の状態に合ったサービスを選びやすくするための“ものさし”と考えてもらえると良いと思います。

2. 要介護認定の流れ「7ステップ」を全体で見る

細かい話に入る前に、
全体の流れを一枚の地図として眺めておきましょう。

  1. 相談(地域包括支援センター・市区町村の窓口)
  2. 要介護認定の申請
  3. 認定調査(訪問調査)
  4. 主治医意見書の作成
  5. 介護認定審査会による判定
  6. 結果通知(要支援・要介護など)
  7. ケアプラン作成 → 介護サービスの利用開始

厚生労働省の
「要介護認定はどのように行われるか」では、
この流れが図つきで説明されています。

「まず相談 → 申請 → 調査 → 審査会 → 結果 → ケアプラン → サービス」
というリズムだけ頭の片すみに置いておけば、途中で迷いにくくなります。

3. 申請前にしておくとラクになる「3つの準備」

いきなり役所に行くより、
この3つだけメモにしておくと、その後がかなりラクになります。

3-1. 親の「変化」を簡単にメモする

  • 転びそうになった、実際に転んだ回数
  • 食事・トイレ・入浴・着替えでどこを手伝っているか
  • 買い物・掃除・洗濯・ゴミ出しがどれくらいできているか
  • 薬の飲み忘れ、火の消し忘れ、同じ話のくり返し など

「いつ頃から」「どれくらい」「家族がどう支えているか」を、
ざっくり箇条書きにしておきましょう。

これは後で出てくる 認定調査(訪問調査)で、とても役に立つメモになります。

3-2. かかりつけ医(主治医)を確認しておく

要介護認定では、
主治医が「主治医意見書」という書類を作成します。

申請書には、

  • 病院名・クリニック名
  • 主治医の名前
  • 電話番号

などを書くので、手元に診察券を用意しておくとスムーズです。

3-3. 家族の「希望」をざっくり話しておく

  • できるだけ自宅で暮らしてほしいのか
  • デイサービスなどを利用して、家族の介護時間を減らしたいのか
  • 将来的には施設入所も視野に入れているのか

完璧に決める必要はありませんが、

「家族として、どこまで手伝えそうか」

を話しておくと、
ケアマネジャーとケアプランを作るときに話が進めやすくなります。

4. どこで・誰が・どう申請する?

4-1. 申請先と相談窓口

要介護認定の申請先は、一般的に次のような窓口です。

  • 市区町村役場の介護保険担当課(高齢者支援課・介護保険課など)
  • 地域包括支援センター(まず相談をして、申請書作成を手伝ってもらうケースも多い)

申請できる人

  • 本人
  • 家族・親族
  • 地域包括支援センター
  • ケアマネジャーがいる事業所
  • 介護施設(入所中の場合)

本人が役所に行けない場合でも、
家族や専門職が代わりに申請できるようになっているので、そこまで心配しなくて大丈夫です。

4-2. 申請に必要な主なもの

自治体によって細かな違いはありますが、
たとえば西宮市の案内では、次のような書類が必要とされています。

  • 介護保険要介護・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(40〜64歳の場合は健康保険証)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
  • マイナンバーが分かるもの
  • かかりつけ医の情報(診察券など)

詳しくは、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認してみてください。

5. 認定調査(訪問調査)ってどんなことをする?

5-1. 当日の流れ

申請が受理されると、
市区町村から委託された認定調査員が、自宅や入院先を訪問します。

当日は、こんなことを確認されます。

  • 本人の表情・受け答え・声の大きさ
  • 立ち上がり・歩行・食事・トイレ・入浴などの日常動作
  • 認知機能(時間や場所が分かるか、会話の内容など)
  • 問題行動・精神状態(徘徊、怒りっぽさ、落ち込みなど)

調査は、全国共通の「基本調査 74項目」をもとに行われ、
その結果と主治医意見書をもとに、一次判定(コンピュータ)→二次判定(審査会)へ進みます。

5-2. 家族として、ここだけ意識しておくと安心

  1. “いいときの姿”ではなく“普段の状態”を伝える
    • 本人が「大丈夫です」と頑張ってしまうことがあります
    • 立ち上がるときは必ず支えている、夜中に何度もトイレに起きる…など、
      日常の様子をそのまま伝えることが大事です
  2. 無理をさせない
    • 調査当日に限って長く歩かせてしまうと、それだけで疲れてしまいます
    • いつも使っている杖・シルバーカー・手すりがあれば、そのまま使ってOKです
  3. 事前メモを見ながら話してOK
    • 「3-1」で書いたメモを調査員に見せながら話すのも、とても良い方法です
    • 「転倒はこの半年で3回」「料理は火を使うのが不安で、レンジ中心」など、具体的に伝えやすくなります

6. 主治医意見書と、結果・有効期間のイメージ

6-1. 主治医意見書はどうやって用意される?

主治医意見書は、
市区町村がかかりつけ医に作成を依頼するのが基本です。

家族がしておきたいことは、

  • 受診のときに「介護保険の申請をしました」と伝えておく
  • 普段の生活の様子(転倒・食事量・物忘れなど)をメモにして渡す

といった、主治医に情報を共有するひと工夫です。

6-2. 結果通知と有効期間の目安

申請から原則30日以内に、
要介護度などが書かれた結果通知書と、新しい介護保険証が届きます。

要介護認定には「有効期間」があり、
厚生労働省の基準ではおおむね次のように定められています。

  • 新規申請・区分変更申請
    • 原則:6か月
    • 状況に応じて、3〜12か月の範囲で決定
  • 更新申請
    • 原則:12か月
    • 状況が安定している場合などは、最長48か月まで延長される場合もある

有効期間が切れてしまうと、介護サービスが使えなくなることがあります。
役所やケアマネジャーから届く「更新のお知らせ」は、忘れずチェックしておきましょう。

7. 結果が「軽い」「非該当」だったときの考え方

7-1. 非該当=何も支援がない、とは限らない

結果が「非該当」だったとしても、

  • 自治体独自の高齢者向けサービス
  • 見守り・配食・家事支援 などの生活支援サービス

が利用できることもあります。

まずは認定結果を持って、
もう一度、地域包括支援センターに相談してみるのがおすすめです。

7-2. 「もっと重いと思っていたのに…」というとき

  • 調査のときに、家族の負担がうまく伝わらなかった
  • 本人が無理をして「できます」と答えてしまった

などで、家族の感覚より軽い結果になることもあります。

その場合は、

  1. 主治医やケアマネジャーと一緒に、認定結果と実際の生活を整理
  2. 必要であれば、「区分変更申請」や「審査請求(不服申立て)」を検討

という流れになります。

一人で抱え込まず、医療機関や地域包括支援センターに遠慮なく相談してみてください。

8. 申請を考え始めてもいい「サイン」チェックリスト

最後に、「まだ早いかな…」と思っている方向けに、
申請を検討してもよさそうなサインをまとめておきます。

8-1. 身体のサイン

  • 転びそうになったり、実際に転んだりすることが増えた
  • 立ち上がりや歩行に、常に誰かの手助けが必要
  • 入浴・トイレ・着替えのどれかを、一人で任せるのが不安になってきた
  • 体重が大きく減った、食事量が目に見えて減っている

8-2. 生活のサイン

  • 買い物に一人で行けなくなってきた
  • ゴミ出し・掃除・洗濯が追いつかない
  • ガスコンロや電気の消し忘れが増えている
  • 薬の飲み忘れ・飲み過ぎが増えている

8-3. 心・認知機能のサイン

  • 同じ話を何度もくり返すようになった
  • 日付や曜日、人の名前がなかなか出てこない
  • 以前より怒りっぽくなったり、逆に落ち込みが強くなったりしている
  • 一人で外出すると、道に迷ったり帰り道が分からなくなったことがある

これらがいくつか当てはまるようになってきたら、

「まだ早いかな」ではなく
「一度、地域包括支援センターに相談してみよう」

くらいの気持ちで動いてみると良いタイミングです。

9. もっと詳しく知りたいときの参考リンク・関連記事

公的な一次情報(制度の詳細を確認したいとき)

おわりに:迷ったら「一人で決めない」がいちばんの安心

介護保険や要介護認定は、
どうしても「むずかしそう」「手続きが大変そう」という印象が強い制度です。

でも、実際には

  • 申請や認定の手続き自体は無料でできること
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーが、一緒に考えてくれること

を知っているだけで、かなり気持ちが軽くなります。

親の介護は、ある日突然「今日からスタートです」と言われることもあります。
少しでも不安を感じたタイミングで、早めに相談の一歩を踏み出すことが、
親と自分の両方を守るいちばんの準備になるはずです。

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